用途解説

AIツール導入で使える補助金|対象になるAI・ならないAIと採択の現実

AI導入はデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が中心。対象は事務局に登録されたITツールだけで、AI専用の枠はない。使いたいAIサービスが対象かは、登録の有無と公募要領のプロセスで決まる。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

AI導入はデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が中心。対象は事務局に登録されたITツールだけで、AI専用の枠はなく、「汎用・自動化・分析ツール」だけのITツールは単独で申請できない。AI搭載設備の導入や開発を伴う場合は、新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金が候補になる。

結論

AIツール導入で使える代表的な補助金は IT導入補助金(2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」)の通常枠 が中心です(2026年9月時点)。ただし、補助の対象は事務局に登録されたITツールだけです。ChatGPT や Microsoft Copilot などのAIサービスも、登録されているか、公募要領の業務プロセスに当てはまるかで対象かどうかが決まります。

AI搭載の生産設備(自動検査・ロボット等)の導入や、新製品・新サービスの開発を伴う場合は 新事業進出・ものづくり補助金省力化投資補助金 が候補になります。

1. AI導入で使える補助金の整理

デジタル化・AI導入補助金(通常枠)

旧「IT導入補助金」は2026年度から デジタル化・AI導入補助金 に改称され、AI機能を持つITツールや生成AIを活用したシステムの導入が対象として明確化されました。AI専用の独立枠(いわゆる「AI活用枠」)は存在せず、AIツールは 通常枠(業務プロセスのデジタル化)の中で、IT導入支援事業者が登録したAI機能付きITツール(AIチャットボット、AI議事録、AI画像解析、AI需要予測など)を導入する形が中心です。

  • 補助率: 1/2以内(令和6年10月〜令和7年9月に最低賃金近傍の従業員が全体の3割以上等の要件を満たす場合は2/3以内)
  • 補助額: 1〜3プロセス 5万〜150万円未満/4プロセス以上 150万〜450万円
  • 必須: IT導入支援事業者経由で、登録済みのITツールのみが対象
  • 2026年度から公式の「ITツール検索」でAI機能を持つツールを絞り込み可能

複数の中小企業が連携してAIツールを導入する場合は 複数者連携デジタル化・AI導入枠(合計上限あり)も選択肢になります。

新事業進出・ものづくり補助金(開発・新市場への進出)

ものづくり補助金は23次締切で受付を終え、後継的な位置づけの新事業進出・ものづくり補助金の第1回公募が始まっています。機械装置・システム構築費が必須で、革新的新製品・サービス枠は「開発」を伴う事業が対象です(機械装置を導入するだけの事業は対象外)。

新事業進出・ものづくり補助金の詳細

中小企業省力化投資補助金

カタログ注文型は、事務局のカタログに登録された省力化製品から選ぶ形です。カタログにない設備やシステムを個別に導入する場合は一般型が対象になります。

省力化投資補助金の詳細

2. 「ChatGPT は補助金で買える?」の答え

結論: 事務局に登録されたITツールでなければ対象になりません。サービス名で一律に決まるのではなく、次の3点で決まります。

確認すること 公募要領の定め
事務局に登録されたITツールか 補助対象は、あらかじめ事務局に登録されたITツールだけ
業務プロセスを持つか 通常枠のソフトウェアは、顧客対応・販売支援、会計・財務・経営などの業務プロセスを1つ以上持つ必要がある
汎用ツールだけではないか 「汎用・自動化・分析ツール」だけのITツールは単独で申請できず、業務プロセスと組み合わせる必要がある

ポイント: 使いたいAIサービスが登録されているか、AIを搭載しているかは、公式の「ITツール検索」で確認できます。個人で契約済みのサービスや、交付決定前に契約したサービスは対象になりません。

ChatGPT・Codex・Claude・Claude Code の有料プランは、2026年9月17日時点で複数のIT導入支援事業者が登録ITツールとして登録しています。プラン別の登録状況と、補助額の下限に届くかどうかは ChatGPT・Codex・Claude・Claude Codeは補助金の対象? で整理しています。

3. 申請前に必要な準備(見落とすと締切に間に合わない)

AI導入の中身を検討する前に、手続き上の前提が2つあります。どちらも申請直前では間に合わないことがあります。

準備 内容 注意点
GビズIDプライム 申請に必須のアカウント マイナンバーカードのオンライン申請なら最短即日/書類申請は最大1か月
SECURITY ACTION IPAの情報セキュリティ自己宣言(★一つ星または★★二つ星) 第2回公募以降は、2026年4月に運用が始まった「SECURITY ACTION管理システム」での宣言が必要

さらに 2026年7月9日から、GビズIDプライム・メンバーには発行日から2年3か月の有効期限が新設されました。以前に取得済みでも期限切れの可能性があるため、まずログインできるかを確認してください。

4. IT導入支援事業者の選び方

この補助金は事業者が単独では申請できません。IT導入支援事業者 を選び、その事業者が扱う 登録ITツール を導入する形になります。つまり 支援事業者選びが、提案されるAIツールと申請内容の質をほぼ決めます。

  • 自社の課題領域のAIツールを扱っているか(得意分野は事業者ごとに違う)
  • 今年度の公募要領で話ができるか(2026年度は名称変更とAI関連の対象明確化があった)
  • 補助金ありきの提案になっていないか(不要な上位プランを勧められていないか)
  • 交付決定後の実績報告・効果報告まで伴走するか
  • 複数社の提案を比較したか

なお、申請内容に不正があった場合に交付決定の取消し・返還を求められるのは、支援事業者ではなく 申請者です。内容は必ず自分で確認してください。

5. 費用と自己負担の考え方

「補助金が出る=安く導入できる」と考えると資金繰りを誤ります。

  • 通常枠の補助率は 1/2以内(要件を満たす場合は2/3以内)。半分以上は自己負担が基本です。
  • 補助額は 1〜3プロセスで5万〜150万円未満/4プロセス以上で150万〜450万円。導入範囲で上限が変わります。
  • 支払いは 精算払い一度は全額を立て替え、補助分の入金は事業完了・実績報告のあとです。

AI SaaS は年間契約が一般的です。年額60万円のツールなら、まず60万円を支払い、後日その半分程度が入金されるという資金の流れになります。この時間差に耐えられるかを先に確認してください。

6. 業務課題が具体化できているか

「AIで何かやりたい」では採択されません。「○○業務に月△時間かかっており、AIで×%削減を目指す」という具体的な課題と数値目標が必要です。導入するAIツールは、この課題から逆算して選びます。

7. 落とし穴

落とし穴1: 導入後の報告と解約

交付決定後は 事業実施効果報告 が必要です。通常枠は事業計画期間の前と1〜3年度目の計4回です。賃上げ目標が必須の申請で期間内に報告しないと、補助金の全部または一部の返還を求められます。ITツールを解約・利用停止する場合は辞退の手続きが必要で、返還になることがあります。

落とし穴2: 既に契約済みのツールは対象外

交付決定前に契約・発注したITツールは補助対象になりません。既に契約しているサービスの費用を補助金で賄うことはできません。

落とし穴3: 内製AIシステム開発は対象外

対象は事務局に登録されたITツールだけなので、AIシステムを独自に開発する案件は対象外です。新製品・新サービスの開発にあたる場合は、新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠が候補になります。

8. 申請を勧めないケース

  • 登録ITツールではないAIサービスを補助金で安くしたい
  • AI導入の業務目的が不明確
  • 既に対象ツールと契約済み
  • 交付決定後の事業実施効果報告に対応する体制がない
  • 1〜2ヶ月以内に AI を使い始めたい急ぎ案件

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9. よくある質問

Q. AIエージェント開発の外注費は補助対象?

A. デジタル化・AI導入補助金の対象は登録ITツールのため、個別開発の外注費は対象外です。新製品・新サービスの開発にあたる場合は、新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠が候補になります。

Q. AI研修費は補助対象?

A. 人材開発支援助成金の対象になる場合があります(AI研修だけを対象にした専用のコースはありません)。人材育成支援コースでは、訓練開始日の6か月前から1か月前までに職業訓練実施計画届を労働局に提出します。

Q. AI導入で人を解雇したら助成金返還?

A. キャリアアップ助成金など雇用系助成金には「事業主都合解雇」の制限があります。AI導入と並行して解雇する場合は社労士に必ず相談してください。

10. 情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

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