用途解説

AIツール導入で使える補助金|対象になるAI・ならないAIと採択の現実

AI導入は IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)の通常枠が本命。ChatGPT等の汎用AIは原則対象外で、登録された業務特化型AI SaaSが対象になる。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/7/24
この記事の結論

AI導入は IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)の通常枠が本命だが、ChatGPT・Copilot 等の **汎用AIサブスクリプションは原則対象外**。業務特化型のAI SaaSが対象。ものづくり補助金・省力化投資補助金でAI搭載設備を導入する選択肢もあるが、補助率・採択難度が異なる。

結論

AIツール導入で使える代表的な補助金は IT導入補助金(2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」)の通常枠 が中心です(2026年7月時点)。ただし、ChatGPT や Microsoft Copilot などの汎用AIサブスクリプションは原則対象外で、IT導入支援事業者が登録した業務特化型AI SaaSのみが補助対象になります。

AI搭載の生産設備(自動検査・ロボット等)を導入する場合は ものづくり補助金省力化投資補助金 が候補になります。

1. AI導入で使える補助金の整理

デジタル化・AI導入補助金(通常枠)

旧「IT導入補助金」は2026年度から デジタル化・AI導入補助金 に改称され、AI機能を持つITツールや生成AIを活用したシステムの導入が対象として明確化されました。AI専用の独立枠(いわゆる「AI活用枠」)は存在せず、AIツールは 通常枠(業務プロセスのデジタル化)の中で、IT導入支援事業者が登録したAI機能付きITツール(AIチャットボット、AI議事録、AI画像解析、AI需要予測など)を導入する形が中心です。

  • 補助率: 1/2以内(令和6年10月〜令和7年9月に最低賃金近傍の従業員が全体の3割以上等の要件を満たす場合は2/3以内)
  • 補助額: 1〜3プロセス 5万〜150万円未満/4プロセス以上 150万〜450万円
  • 必須: IT導入支援事業者経由で、登録済みのITツールのみが対象
  • 2026年度から公式の「ITツール検索」でAI機能を持つツールを絞り込み可能

複数の中小企業が連携してAIツールを導入する場合は 複数者連携デジタル化・AI導入枠(合計上限あり)も選択肢になります。

ものづくり補助金(AI搭載設備)

AI搭載の検査装置・自動化ロボット・需要予測システムなどの 設備投資 に対して使える補助金。事業計画書による革新性の説明が求められます。

ものづくり補助金の詳細

中小企業省力化投資補助金(カタログ製品のみ)

事務局が登録したカタログから AI搭載省力化製品を選ぶ形。自由選定不可 で、カタログにある製品のみ対象。

省力化投資補助金の詳細

2. 「ChatGPT は補助金で買える?」の答え

結論: 原則買えません

AIサービス 補助金対象? 理由
ChatGPT Plus(個人) 個人課金は事業経費として認められにくい
ChatGPT Team / Enterprise IT導入支援事業者経由なら可能性あり、ただし汎用ツールは難
Microsoft 365 Copilot 業務効率化SaaS扱いになるか要確認
Notion AI / Slack AI 汎用ツールのアドオン扱い
AI議事録(tl;dv 等) 業務特化型として認められる傾向
AIチャットボット カスタマーサポート特化として認められる

ポイント: 「業務領域が特定されたAI SaaS」であることが採択ライン。汎用AIは「事業者が自由に使い道を決められるサブスクリプション」とみなされて対象外になる傾向があります。

3. 申請前に必要な準備(見落とすと締切に間に合わない)

AI導入の中身を検討する前に、手続き上の前提が2つあります。どちらも申請直前では間に合わないことがあります。

準備 内容 所要期間
GビズIDプライム jGrants電子申請に必須のアカウント マイナンバーカードのオンライン申請なら最短即日/書類申請は最大1か月
SECURITY ACTION IPAの情報セキュリティ自己宣言(★一つ星または★★二つ星) 2〜3日・無料

さらに 2026年7月9日から、GビズIDプライム・メンバーには発行日から2年3か月の有効期限が新設されました。以前に取得済みでも期限切れの可能性があるため、まずログインできるかを確認してください。

4. IT導入支援事業者の選び方

この補助金は事業者が単独では申請できません。IT導入支援事業者 を選び、その事業者が扱う 登録ITツール を導入する形になります。つまり 支援事業者選びが、提案されるAIツールと申請内容の質をほぼ決めます。

  • 自社の課題領域のAIツールを扱っているか(得意分野は事業者ごとに違う)
  • 今年度の公募要領で話ができるか(2026年度は名称変更とAI関連の対象明確化があった)
  • 補助金ありきの提案になっていないか(不要な上位プランを勧められていないか)
  • 交付決定後の実績報告・効果報告まで伴走するか
  • 複数社の提案を比較したか

なお、申請内容に不正があった場合に交付決定の取消し・返還を求められるのは、支援事業者ではなく 申請者です。内容は必ず自分で確認してください。

5. 費用相場と自己負担の考え方

「補助金が出る=安く導入できる」と考えると資金繰りを誤ります。

  • 通常枠の補助率は 1/2以内(要件を満たす場合は2/3以内)。半分以上は自己負担が基本です。
  • 補助額は 1〜3プロセスで5万〜150万円未満/4プロセス以上で150万〜450万円。導入範囲で上限が変わります。
  • 支払いは 精算払い一度は全額を立て替え、補助分の入金は事業完了・実績報告のあとです。

AI SaaS は年間契約が一般的です。年額60万円のツールなら、まず60万円を支払い、後日その半分程度が入金されるという資金の流れになります。この時間差に耐えられるかを先に確認してください。

6. 業務課題が具体化できているか

「AIで何かやりたい」では採択されません。**「○○業務に月△時間かかっており、AIで×%削減を目指す」**という具体的な課題と数値目標が必要です。導入するAIツールは、この課題から逆算して選びます。

7. 落とし穴

落とし穴1: 「導入したけど誰も使わない」採択取消

IT導入補助金は採択後の 利用実績報告 が必須。3〜5年にわたって毎年の利用状況を報告する義務があります。導入後に放置していると返還を求められます。

落とし穴2: 既に契約済みのツールは対象外

「既に契約しているChatGPTを補助金で安くしたい」は不可能です。新規契約のみ が対象。

落とし穴3: 内製AIシステム開発は対象外

外注で AI モデルを内製開発する案件は IT導入補助金の対象外。ものづくり補助金や事業再構築系の補助金を検討してください。

8. 申請を勧めないケース

  • ChatGPT などの汎用AIだけ補助金で安くしたい
  • AI導入の業務目的が不明確
  • 既に対象ツールと契約済み
  • 採択後の利用実績報告に対応する体制がない
  • 1〜2ヶ月以内に AI を使い始めたい急ぎ案件

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9. よくある質問

Q. AIエージェント開発の外注費は補助対象?

A. IT導入補助金では原則対象外。ものづくり補助金や中小企業新事業進出補助金で「新サービス開発」として申請する選択肢があります。

Q. AI研修費は補助対象?

A. 人材開発支援助成金(AI研修コース)の対象になる場合があります。ITスキル系の訓練計画として労働局に届出が必要です。

Q. AI導入で人を解雇したら助成金返還?

A. キャリアアップ助成金など雇用系助成金には「事業主都合解雇」の制限があります。AI導入と並行して解雇する場合は社労士に必ず相談してください。

10. 情報源


最終確認日: 2026年7月24日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

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