用途解説

研究開発で使える補助金|新事業進出・ものづくり補助金の枠と研究開発公募の探し方

研究開発に使える国の補助金は、新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠が中心です。ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金は現在申請できません。対象になる「開発」の範囲、補助率・上限、3〜5年の賃上げ要件、立替え期間を公募要領ベースで整理しました。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

研究開発・試作開発に使える国の補助金は、新事業進出・ものづくり補助金革新的新製品・サービス枠(上限750万〜2,500万円、賃上げ特例で850万〜3,500万円・下限100万円・補助率1/2、小規模企業・小規模事業者と再生事業者は2/3)が中心です。第1回の応募申請は2026年9月30日〜10月30日18:00。新製品・新サービスの「開発」が対象で、機械装置を導入するだけの事業は対象外です。付加価値額+4.0%/年・一人当たり給与支給総額+3.5%/年などの要件と、採択発表から振込まで1年を超えることがある立替えを前提に判断してください。ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金は、現在申請できません。

結論

研究開発・試作開発に使える国の補助金で、現在申請を受け付けている代表的な制度は新事業進出・ものづくり補助金です(2026年9月時点)。

  • 革新的新製品・サービス枠: 革新的な新製品・新サービスの開発が対象。補助上限750万〜2,500万円(賃上げ特例で850万〜3,500万円)、下限100万円、補助率1/2(最低賃金引上げ特例で2/3。小規模企業・小規模事業者、再生事業者は2/3)
  • 新事業進出枠: 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出が対象。補助上限2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で3,000万〜9,000万円)、下限750万円、補助率1/2(最低賃金引上げ特例で2/3)
  • 第1回の応募申請: 2026年9月30日〜10月30日18:00

試作開発によく使われてきたものづくり補助金は、23次締切(採択発表2026年8月7日)を最後に24次が告知されておらず、中小企業新事業進出補助金も公募が終了しています。どちらも現在は申請できません。

このほか、国の省庁や研究開発法人(NEDOなど)の研究開発型の公募や、SBIR制度の対象となる公募もあります。テーマ・金額・補助か委託かは公募ごとに違うため、各機関の公式サイトの公募情報で確認してください(当サイトでは個別の金額を掲載していません)。

1. 新事業進出・ものづくり補助金の3枠と研究開発

研究開発との関係 補助上限(賃上げ特例) 下限 補助率 補助事業実施期間
革新的新製品・サービス枠 革新的な新製品・新サービスの開発 750万〜2,500万円(850万〜3,500万円) 100万円 1/2(最低賃金引上げ特例で2/3。小規模企業・小規模事業者、再生事業者は2/3) 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)
新事業進出枠 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出 2,500万〜7,000万円(3,000万〜9,000万円) 750万円 1/2(最低賃金引上げ特例で2/3) 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)
グローバル枠 海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化 2,500万〜7,000万円(3,000万〜9,000万円) 750万円 2/3 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)

補助上限は従業員数で決まります。革新的新製品・サービス枠は1〜5人750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円です。

ものづくり補助金・中小企業新事業進出補助金の対象領域を引き継ぐ後継的な位置づけですが、事務局は両者とは「異なる補助金」と明記しています。枠の構成・要件・様式は別物なので、過去の申請書は流用しないでください。

2. 革新的新製品・サービス枠のポイント

  • 「開発」が対象: 既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上だけの事業や、機械装置を導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わない事業は対象外と明記されています
  • 補助対象経費: 機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費
  • 加点項目: 「研究開発費・試験研究費の計上」は17ある加点項目の1つです(加点項目は申請締切日時点で満たしている必要があります)
  • 申請: 本補助金の電子申請システムでのみ受け付けます(代理申請のための委任関係を管理する機能はありません)。GビズIDプライムが必要です
  • 認定経営革新等支援機関を含む外部支援者の助言を受けることは差し支えありませんが、事業計画は必ず申請者自身で作成します。作成自体を申請者以外が行ったことが発覚すると、不採択・採択取消・交付決定取消になります
  • 補助事業期間: 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)

新事業進出・ものづくり補助金の詳細申請判定ガイド

3. 必ず満たす基本要件(3〜5年の事業計画)

要件 内容 未達の場合
付加価値額 年平均成長率+4.0%以上
一人当たり給与支給総額 年平均成長率+3.5%以上(交付申請時までに従業員等へ表明) 表明なしは全額返還、目標未達は未達率に応じて返還
事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上を毎年維持 未達の年ごとに、補助金交付額を事業計画期間の年数で割った額を返還
一般事業主行動計画 策定し「両立支援のひろば」で公表 申請締切日時点で公表されていないと要件を満たさない
子育て等の職場環境整備 ①ライフデザインサービスの活用 ②家事代行・ベビーシッターサービスの活用 ③子育て等に関する既存制度の従業員への周知 から1つを選び、事業計画に記載 実績報告時に取り組みを確認できる書類を提出
金融機関要件 金融機関から資金提供を受けて実施する場合のみ、その金融機関の確認を受ける 「金融機関による確認書」を提出

研究開発は売上に結びつくまで時間がかかりがちです。開発の成果で付加価値額を年+4.0%以上伸ばし、給与も上げ続けられる計画かどうかを、申請前に確かめてください。

4. 研究開発に携わる人材の育成に使える助成金

研究開発に携わる従業員の訓練には、人材開発支援助成金人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練など)や事業展開等リスキリング支援コースが使える場合があります。いずれも中小企業は経費助成75%・賃金助成1人1時間1,000円で、職業訓練実施計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出する必要があります。

5. 研究開発補助金の落とし穴

落とし穴1: 機械を買うだけの計画

革新的新製品・サービス枠は「開発」が対象です。設備を導入して生産性を上げるだけの計画は対象外になります。

落とし穴2: 立替え期間が長い

精算払いのため、事業費の全額をいったん立て替えます。交付申請は採択発表から原則2か月以内、補助事業期間は交付決定から10か月以内で、その後に実績報告・確定検査を経て支払われます。補助事業期間は採択発表日から12か月以内が上限なので、採択発表から振込まで1年を超えることがあります。自己資金かつなぎ融資を準備してください。

落とし穴3: 交付決定前の発注・契約

交付決定前に発注・契約・支払いをした経費は対象外です。採択されただけでは発注できません。外部への開発委託や技術導入の契約も、交付決定を待つ必要があります。

落とし穴4: 補助下限額と減額

交付申請の精査で交付決定額が減額されることがあり、補助金額が補助下限額(革新的新製品・サービス枠は100万円)を下回ると採択取消になります。

落とし穴5: 相見積

交付申請の段階で、契約(発注)先1件あたり50万円(税抜)以上の経費には3者以上の相見積が必要です。特定の研究機関や企業にしか頼めない開発委託を予定している場合は、要件の扱いを公募要領で確認してください。

落とし穴6: 過去の交付決定による減点・対象外

申請締切日から遡って過去3年間に、ものづくり補助金または新事業進出補助金で交付決定を1回受けている事業者は減点されます。応募申請日から遡って過去3年間に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けている事業者は、そもそも補助対象外です。また、これらの補助金を受給し、直近の事業化状況報告等での事業化段階が3段階以下の場合も減点されます。

落とし穴7: 取得財産の処分制限と事業化状況報告

取得した財産には処分制限があり、原則として補助事業にのみ使用します。補助事業の終了後も、3〜5年間毎年、事業化状況報告で付加価値額・賃上げの達成状況を報告します。

6. 申請を勧めるケース

  • 新製品・新サービスの開発内容と、事業化までの計画が具体的
  • 開発の成果で付加価値額 年+4.0%以上、一人当たり給与支給総額 年+3.5%以上を見込める
  • 事業費の全額を1年以上立て替えられる、または融資の目処がある
  • 応募締切までに一般事業主行動計画を公表できる
  • 事業計画書を自社で作成できる(外部の助言は可)

7. 申請を勧めないケース

  • 事業化の見通しが立っていない研究段階
  • 開発を伴わず、設備の導入だけが目的
  • 減額されると補助下限額を下回る小規模な開発
  • 過去3年以内に事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けている(1回の場合は減点)
  • 採択後の交付申請・実績報告・事業化状況報告に対応する体制がない

3分で無料診断

8. よくある質問

Q. ものづくり補助金の試作開発にはまだ申請できますか?

A. できません。ものづくり補助金は23次締切(応募締切2026年5月8日・採択発表2026年8月7日)を最後に24次が告知されていません。開発を伴う事業は新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠が対象になりますが、事務局は両者を「異なる補助金」としているため、要件は公募要領で読み直してください。

Q. 特許などの知的財産の費用は対象ですか?

A. 新事業進出・ものづくり補助金の補助対象経費には「知的財産権等関連経費」があります。対象になる費用の範囲(海外への出願を含むかなど)は公募要領で確認してください。

Q. 自社の研究員の人件費は対象ですか?

A. 新事業進出・ものづくり補助金で示されている補助対象経費の区分(機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、専門家経費など)に、人件費は含まれていません。詳細は公募要領で確認し、自社の人件費を補助で賄う前提の計画は避けてください。

Q. SBIRやNEDOの研究開発公募はどう探せばいいですか?

A. SBIR制度の対象となる公募や、NEDOなど研究開発法人の公募は、テーマ・金額・補助か委託かが公募ごとに違います。当サイトでは個別の金額を掲載していないため、各省庁・各機関の公式サイトの公募情報で最新の内容を確認してください。

Q. 研究開発税制と一緒に使えますか?

A. 補助金を受けた研究開発費の税務上の扱いは、個別の状況によって変わります。研究開発税制の適用を考えている場合は、申請前に税理士に確認してください。

9. 情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

次に読むべき記事

この記事の情報が古い・誤りがあると感じたら

補助金は公募ラウンドごとに要件・補助率・締切が変動します。「最終確認日 2026/9/15」以降に変更があった場合、 お問い合わせフォームからお知らせください。一次資料で確認のうえ、誤りがあれば速やかに修正します。

訂正・更新提案を送る

あなたの状況で本当に申請すべき?

3分の入力で11制度を一括判定。「申請推奨」から「見送り推奨」まで5段階で評価します。

無料で診断する
3分で無料診断する 登録不要