結論
中小企業省力化投資補助金には カタログ注文型 と 一般型(オーダーメイド型) の2類型があります(2026年9月時点)。カタログ注文型は配膳ロボット、券売機、自動精算機、自動チェックイン機などの 省力化製品 をカタログから選ぶ形で、随時受付(公募要領上の受付は令和9年3月末頃まで)。一般型は自社の課題に合わせたオーダーメイドの省力化投資が対象です。
一般型の採択率は6割台で推移しています(公式の申請数・採択数から算出すると第1〜6回で60.9〜69.3%。直近の第6回は1,841件中1,176件=63.9%)。カタログ注文型は採択審査ではなく交付申請・交付決定の方式で、採択率は公表されていません。人手不足解消が目的の事業者向けです。
1. 省力化投資補助金の基本スペック
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型(オーダーメイド型) |
|---|---|---|
| 所管 | 中小企業庁 | 中小企業庁 |
| 補助率 | 1/2以下(購入価格が製品ごとの補助上限額の2倍を超えると1/2未満) | 中小企業1/2(最低賃金引上げ特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者2/3 |
| 補助上限 | 最大1,000万円(賃上げで1,500万円) | 最大8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円) |
| 受付 | 随時受付 | 公募回ごと(第8回 申請受付2026年9月18日10:00〜10月16日17:00、採択発表2027年2月上旬予定) |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 | 中小企業・小規模事業者 |
| 申請方法 | 事務局の申請受付システム(販売事業者と共同) | 申請ポータル(申請マイページ) |
| GビズID必須 | ◯ | ◯ |
| 採択率 | 公表なし(交付申請を審査して交付決定) | 第1〜6回で60.9〜69.3%(第6回63.9%) |
| 支払 | 実績報告・確定検査の後(支払までの期間は公表されていない) | 事業完了・実績報告・確定検査の後(事業実施期間は交付決定日から17か月以内。ただし採択発表日から19か月以内) |
カタログ注文型 従業員数別 補助上限
| 従業員数 | 補助上限 | 大幅な賃上げを行う場合 |
|---|---|---|
| 5名以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20名 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
※ カタログ注文型 公募要領 第11版(2026年3月19日改訂)の値。補助額25万円未満の申請は不可(借用の場合を除く)。
一般型は補助上限が最大8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円)と大きく、オーダーメイドの省力化投資が可能です。
カタログ注文型の補助対象経費
対象になるのは次の2つだけです(公募要領 2-2)。
- 製品本体価格: 登録製品の購入または借用の費用。購入する場合は単価50万円以上。補助額は製品ごとに登録された額が上限
- 導入経費: 設置作業・運搬・動作確認・マスタ設定などの費用。製品本体価格の2割まで
導入経費だけを申請することや、1回の交付申請で複数種類の製品を申請することはできません。中古品、交付決定前に購入した製品、消費税は対象外で、保守費は補助対象経費に含まれません。
2. カタログに登録されている製品カテゴリの例
※ 公式の「製品カテゴリ」(2026年9月10日版)からの抜粋です。対象になるのは事務局に登録された製品だけなので、公式の製品カタログで型番まで確認してください。
飲食・宿泊・小売など向け
- 清掃ロボット、配膳ロボット
- 券売機、自動精算機(注文・精算機、フルセルフレジ、分離型のセミセルフレジ。対面型(一体型)のセミセルフレジは対象外)
- 自動チェックイン機(宿泊業)
- スチームコンベクションオーブン、自動フライヤー、業務用自動食器類洗浄機などの厨房機器
製造・倉庫・物流向け
- 無人搬送車(AGV・AMR)、自動倉庫、検品・仕分システム
- パレタイズロボット
- 印刷紙面検査装置などの検査装置
建設・測量向け
- GNSS測量機(RTK)、地上型3Dレーザースキャナー
製品カテゴリと登録製品は随時追加されます(公募要領では、カタログへの登録は公募受付期間終了の半年前程度まで随時行うとされています)。
3. メリット・デメリット
メリット
- 一般型の採択率は6割台(第1〜6回で60.9〜69.3%)で、ものづくり補助金23次(35.1%)などと比べて高い
- カタログ注文型は、登録製品を選んで販売事業者と共同で申請するため、一般型より手続きがシンプル
- カタログ製品は、工業会等と事務局が製品カテゴリの省力化指数を満たすか等を審査したうえで登録されている
- カタログ注文型は公募回を待たずに交付申請できる
デメリット
- カタログ注文型は登録製品しか対象にならない(現場に合わせた設備導入・システム構築は一般型で検討)
- 導入経費は製品本体価格の2割までで、1回の交付申請で申請できる製品は1種類だけ
- カタログ注文型の補助率は1/2以下(大幅な賃上げで上がるのは補助上限で、補助率ではない)
4. 申請の流れ(カタログ注文型)
- 製品カタログから製品と 販売事業者(事務局に登録済み)を選ぶ
- GビズIDプライムで事務局の申請受付システムにログインし、販売事業者と共同で交付申請
- 審査 → 交付決定(通知は申請受付システムで届く)
- 交付決定後に製品を購入・導入(事前着手は理由を問わず不可)
- 実績報告 → 確定検査 → 補助金の請求・支払
- 補助事業の終了後3年間、効果報告
5. 落とし穴
落とし穴1: カタログ外製品の希望
「自社の業態に最適なロボット」がカタログにない場合、カタログ注文型では対象外。代替策は一般型(オーダーメイド型)や新事業進出・ものづくり商業サービス補助金。
落とし穴2: 設置場所・動線を確認せずに選ぶ
配膳ロボットや無人搬送車などは、置き場所や通路・動線に合わなければ使えません。導入経費として補助対象になるのは設置作業・運搬・動作確認・マスタ設定などで、製品本体価格の2割までです。設置場所と使い方を販売事業者と確認してから申請してください。
落とし穴3: 効果報告と処分制限
カタログ注文型は補助事業の終了後 3年間の効果報告が必須です(一般型も事業計画期間中、毎年度の効果報告が必要)。取得した製品は処分制限財産なので、期間内に転売・目的外使用・廃棄等をすると補助金相当額の返納が必要です。
落とし穴4: 補助額500万円以上なら保険加入が必須
補助額(導入経費を含む)が500万円以上になる場合、事業計画期間の終了まで、火災・自然災害等に備える保険・共済への加入が必須です。保険料は補助対象外なので、費用計画に入れておきます。
落とし穴5: 補助上限の引上げを受けたのに賃上げが未達
カタログ注文型で補助上限の引上げを受けるには、申請時と比べて事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6%以上増やす計画を立て、申請時に従業員へ表明する必要があります。自己の責によらない正当な理由なく目標を達成できなかった場合は、補助額が減額されます。
6. 申請を勧めるケース
- 人手不足で、特定の作業を機器に置き換えたい
- カタログに該当する登録製品がある
- 設置場所・動線に合う製品かを販売事業者と確認できている
- 導入後3年間の効果報告と、処分制限期間中の製品の管理を続けられる
- 交付決定まで購入を待てる
7. 申請を勧めないケース
- カタログにない特注製品が必要(→一般型を検討)
- 設置場所・動線に合う製品がない
- 導入後も使い続けるか分からない(期間内の転売・目的外使用・廃棄には補助金相当額の返納が必要)
- すでに購入した製品の費用に使いたい(交付決定前の購入は対象外)
- 新製品・新サービスの開発を伴う投資(→新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を検討)
→ 3分で無料診断
8. よくある質問
Q. 個人事業主でも対象ですか?
A. 対象です。カタログ注文型の公募要領は、個人事業主を含む中小企業等を対象としています。業種ごとの資本金・従業員数の基準に当てはまるかを確認してください。
Q. ロボットの保守メンテナンス費は?
A. カタログ注文型の補助対象経費は製品本体価格と導入経費(設置・運搬・動作確認・マスタ設定等)だけで、保守費は含まれません。
Q. 他の補助金との併用は?
A. 国の他の補助金と補助対象経費が重複するものは対象外です。経費が重ならなくても、テーマや事業内容がIT導入補助金と同一・類似の場合は対象外になります(カタログ注文型 公募要領 2-4)。また、ものづくり補助金の交付決定から10か月を経過していない事業者や、過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者も対象外です。
Q. カタログ注文型の採択率は?
A. 公表されていません。カタログ注文型は公募回ごとに採択審査をする方式ではなく、随時受け付けた交付申請を審査して交付決定する方式です。公式の公募結果ページには「交付申請数及び交付決定数の推移」「交付決定事業者一覧」「交付決定概要」(いずれも2026年8月末時点、9月7日更新)が掲載されていますが、採択率にあたる数字は出ていません。
9. 情報源
- 中小企業省力化投資補助金 公式
- カタログ注文型 公募要領(公式PDF)
- カタログ注文型 製品カテゴリ(公式PDF・2026年9月10日版)
- 一般型 第8回 公募要領(公式PDF)
- 一般型 公募スケジュール
- 一般型 採択結果(第1〜6回の申請数・採択数)
- カタログ注文型 公募結果(交付申請数・交付決定数)
- 中小企業庁 省力化投資補助金(一般型)第6回の採択結果
最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
次に読むべき記事
ものづくり補助金 申請判定ガイド|採択率・革新性・賃上げ要件の現実
ものづくり補助金は23次締切で受付終了(24次は未告知)。23次は1,275者中448者が採択。23次の枠と上限、付加価値+3.0%・給与+3.5%の要件、後継制度で減点になる点を公式資料で整理。
業務改善助成金 申請判定ガイド|最低賃金引上げと設備投資の使い方
業務改善助成金は最低賃金近傍労働者の賃上げ + 設備投資で補助率最大4/5(80%)の高補助率。解雇や賃金引下げがあると交付されない期間、対象経費、事業完了期限を解説。
デジタル化・AI導入補助金 申請判定ガイド|5つの枠・賃上げ要件・効果報告
デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録されたITツールだけが対象で、IT導入支援事業者と共同で申請する。通常枠は5万〜450万円。150万円以上の申請には賃上げ要件があり、未達は返還。効果報告の回数や過去の交付決定による制限も公募要領で解説。
この記事の情報が古い・誤りがあると感じたら
補助金は公募ラウンドごとに要件・補助率・締切が変動します。「最終確認日 2026/9/15」以降に変更があった場合、 お問い合わせフォームからお知らせください。一次資料で確認のうえ、誤りがあれば速やかに修正します。
訂正・更新提案を送る