業種解説

医療・介護で使える補助金|省力化機器・ICT化・処遇改善加算の活用

医療・介護の補助金は、清掃・配膳ロボットなど登録製品による省力化(省力化投資補助金)、賃上げと設備投資(業務改善助成金)、記録・請求のIT化(デジタル化・AI導入補助金)の3軸。処遇改善加算との関係や、医療法人が対象外になる制度も解説。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

医療・介護の補助金は3軸: ①清掃・配膳ロボットなど登録製品による省力化(省力化投資補助金。カタログ注文型は登録製品のみで、移乗支援や見守りの製品カテゴリはありません)、②賃上げ+設備投資(業務改善助成金)、③記録・請求などのIT化(デジタル化・AI導入補助金。医療法人・社会福祉法人は従業員300人以下が対象)。持続化補助金と新事業進出・ものづくり補助金は、医療法人が対象外です。介護報酬の処遇改善加算と業務改善助成金の関係は公式に明記されていない部分があるため、労働局に事前確認してください。

結論

医療・介護の補助金は3つの軸で考えます(2026年9月時点)。

  1. 清掃・配膳ロボットなど登録製品による省力化: 省力化投資補助金
  2. 賃上げ+設備投資: 業務改善助成金
  3. 記録・請求などのIT化: デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金。事務局に登録されたITツールのみ)

法人の種類で使える制度が変わる点に注意してください。

介護事業者は、介護報酬の処遇改善加算と業務改善助成金の関係を、事前に労働局へ確認してください。

1. 医療・介護向け補助金の比較

制度 補助率・助成率 補助上限など 医療・介護での使いどころ
省力化投資補助金(カタログ注文型) 1/2以下 従業員数別500万〜1,000万円(大幅な賃上げで750万〜1,500万円) 清掃ロボット・配膳ロボット・とろみ給茶機・再加熱カートなど、対象業種に介護業を含む登録製品
業務改善助成金 3/4〜4/5 30万〜600万円 最低賃金に近い賃金の引上げ+設備投資
デジタル化・AI導入補助金(通常枠) 1/2以内(条件付きで2/3以内) 5万〜450万円 記録・請求・勤怠などの登録ITツール
人材開発支援助成金 中小企業は訓練経費の45〜100%(コース・雇用形態・賃金要件で異なる)+賃金助成 年度上限は人材育成支援コース1,000万円、人への投資促進コース2,500万円 職員の研修
キャリアアップ助成金(正社員化コース) 定額 中小企業・有期雇用から1人40万円(重点支援対象者80万円) 有期雇用の職員の正社員化

2. 清掃・配膳・食事提供の省力化で省力化投資補助金

カタログ注文型の製品例

事務局の製品カテゴリ一覧(2026年9月10日版)で、対象業種に「介護業」を含むのは、清掃ロボット、配膳ロボット、飲料ディスペンサー/とろみ給茶機、再加熱キャビネット/カートなどです。移乗支援や見守りのカテゴリはありません。対象は登録製品だけなので、公式の製品カタログで型番まで確認してください。

メリット

  • 随時受付で、公募回を待たずに交付申請できる
  • 販売事業者と共同で申請し、申請書類が比較的シンプル
  • 人手不足の解消に直結しやすい

注意点

  • 自社の法人の種類が対象者に当てはまるかは、公募要領で確認してください
  • 補助事業の終了後3年間の効果報告が必要です
  • 国の他の補助金と補助対象経費が重複するものは対象外です(カタログ注文型 公募要領 2-4)。介護・医療分野の別の補助も検討している場合は、同じ経費に重ねないよう事前に確認してください

省力化投資補助金の詳細

3. 賃上げ+設備投資で業務改善助成金

介護事業者と業務改善助成金

事業場内最低賃金が地域別最低賃金に近い職員がいる事業場で使える助成金です。

  • 助成率: 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4
  • 助成上限: 引上げ額コース(50円・70円・90円)、引き上げる労働者数、事業場の規模で決まり、最大600万円
  • 対象は生産性向上につながる設備投資等です。個別の設備が対象になるかは、申請前に管轄の労働局に確認してください
  • 令和8年度の申請期限は、都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日と11月30日の早い方です

介護報酬の処遇改善加算との関係

処遇改善加算(介護報酬)と業務改善助成金の併用可否を明記した公式資料は見当たりません。業務改善助成金は設備投資等の費用の一部を助成するもので、同じ設備投資の費用に国・自治体等の助成を受けている場合は対象外です(交付要綱 第4条第4項第一号エ)。

公式Q&Aで示されているのは、処遇改善加算を毎月職員数で割って手当として支給している場合、事業場内最低賃金の算定では歩合給に準じて扱うという計算方法です(業務改善助成金Q&A 問9)。賃上げの計画を立てる前に、管轄の労働局に取扱いを確認してください。

4. 記録・請求などのIT化でデジタル化・AI導入補助金

対象になるもの

対象は事務局に登録されたITツールだけです。使いたいサービスが登録されているかは、公式の「ITツール検索」で確認してください。

  • 通常枠のソフトウェアは、公募要領の業務プロセス(顧客対応・販売支援、会計・財務・経営、総務・人事・給与・労務、業種固有プロセスなど)を1つ以上持つ必要があります
  • 医療法人・社会福祉法人・学校法人は、従業員300人以下が対象です
  • 交付決定前に契約・発注したITツールは対象外です

賃上げ要件の扱い

通常枠で150万円以上を申請する場合などには賃上げ要件がありますが、保険医療機関、介護事業者、社会福祉事業者、学校は賃上げ要件の適用外です。

他の補助との関係

医療・介護分野の別の補助も検討している場合は、同じ費用に重ねて補助を受けられるかを、それぞれの事務局に事前に確認してください。

5. 職員研修で人材開発支援助成金

人材育成支援コース(OFF-JT)

職務に関連した知識・技能を習得させる、実訓練時間10時間以上の訓練が対象です。中小企業は、賃金助成が1人1時間800円(賃金要件等で+200円)、経費助成率が正規雇用労働者等45%・有期契約労働者等70%(賃金要件等で+15%)です。

  • 職業訓練実施計画届を、訓練開始日の6か月前から1か月前までに労働局へ提出
  • 受講者の受講時間が実訓練時間の8割以上であること
  • eラーニング・通信制の訓練は経費助成のみで、賃金助成の対象外

その他のコース

人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練は中小企業で経費75%・賃金1,000円/時間など)や、事業展開等リスキリング支援コースもあります。どの研修がどのコースに当たるかは、支給要領で確認してください。

6. 医療・介護特有の落とし穴

落とし穴1: 法人の種類で対象外になる

持続化補助金は医療法人・社会福祉法人が対象外、新事業進出・ものづくり補助金は医療法人が対象外です。制度を選ぶ前に、公募要領の対象者の規定を確認してください。

落とし穴2: 処遇改善加算と業務改善助成金の関係

処遇改善加算の手当を事業場内最低賃金にどう算入するかで、業務改善助成金の対象や引上げ額の計算が変わります(歩合給に準じて扱う=業務改善助成金Q&A 問9)。併用の可否は公式に明記されていないため、労働局に事前確認してください(詳しくは3章)。

落とし穴3: 個人情報の管理

記録・請求などのクラウドサービスを導入する場合は、補助金の要件とは別に、患者・利用者の個人情報を法令やガイドラインに沿って管理する体制が必要です。

落とし穴4: 補助金の税務処理

補助金を受け取ったときの会計・税務の扱いは、法人の種類によって異なる場合があります。申請前に顧問税理士に確認してください。

落とし穴5: 指定の基準に関わる設備変更

介護保険の指定事業者が設備を変更する場合、指定権者への届出などが必要になることがあります。導入前に指定権者に確認してください。

落とし穴6: 交付決定前の契約・発注

省力化投資補助金もデジタル化・AI導入補助金も、交付決定前に契約・発注したものは対象外です。

7. 医療・介護の制度選び方

やりたいことで選ぶ

やりたいこと 候補になる制度
清掃・配膳・食事提供(とろみ給茶機・再加熱カート)の省力化 省力化投資補助金(カタログ注文型)
記録・請求・勤怠などのIT化 デジタル化・AI導入補助金
最低賃金に近い賃金の引上げ+設備投資 業務改善助成金
職員の研修 人材開発支援助成金
有期雇用の職員の正社員化 キャリアアップ助成金

法人の種類で確認すること

法人の種類 確認すること
医療法人 持続化補助金・新事業進出・ものづくり補助金は対象外。デジタル化・AI導入補助金は従業員300人以下
社会福祉法人 持続化補助金は対象外。デジタル化・AI導入補助金は従業員300人以下
株式会社など 各制度の中小企業者・小規模事業者の基準に当てはまるか

8. 申請を勧めるケース

  • 使いたい製品・ITツールが、登録製品・登録ITツールにある
  • 法人の種類が、制度の対象者に当てはまることを確認済み
  • 交付決定まで契約・発注を待てる
  • 導入費用をいったん全額立て替えられる
  • 採択後の実績報告や効果報告に対応する体制がある

9. 申請を勧めないケース

  • 対象外の法人の種類で申請しようとしている
  • 処遇改善加算との関係を労働局に確認しないまま、賃上げ計画を立てている
  • 個人情報を管理する体制が整っていない
  • 同じ費用に別の補助を重ねるつもりでいる
  • 1〜2か月以内に導入したい

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10. よくある質問

Q. 医療法人は補助金を使えますか?

A. 制度によります。持続化補助金と新事業進出・ものづくり補助金は医療法人が対象外です。デジタル化・AI導入補助金は、医療法人・社会福祉法人・学校法人の場合、従業員300人以下が対象です。

Q. 介護ロボットは省力化投資補助金の対象になりますか?

A. カタログ注文型の対象は、事務局の製品カテゴリに登録された製品だけです。製品カテゴリ一覧(2026年9月10日版)で対象業種に「介護業」を含むのは、清掃ロボット、配膳ロボット、飲料ディスペンサー/とろみ給茶機、再加熱キャビネット/カートなどで、移乗支援や見守りのカテゴリはありません。導入を考えている機器がカテゴリに登録されているか、公式の製品カタログで型番まで確認してください。

Q. 省力化機器の補助を複数の制度から受けられますか?

A. 省力化投資補助金(カタログ注文型)は、国の他の補助金と補助対象経費が重複するものを対象外としています。別の補助を検討している場合は、同じ経費に重ねないよう、それぞれの事務局に事前に確認してください。

Q. 訪問介護の車両は対象になりますか?

A. 持続化補助金は、車両など汎用性が高いものが対象外で、社会福祉法人・医療法人も対象外です。他の制度については、それぞれの公募要領の対象経費で確認してください。

Q. 介護職員のスキルアップ研修は?

A. 人材開発支援助成金は、令和8年度は人材育成支援・教育訓練休暇等付与・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援などのコースに分かれています。職務に関連した訓練が対象で、職業訓練実施計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出する必要があります。

11. 情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

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