人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は訓練経費(中小企業45〜100%)と訓練中の賃金を助成。100%は有期実習型訓練で正社員化し賃金要件を満たす場合。計画届は訓練開始の6か月前〜1か月前に提出。コース別の年度限度額も解説。
申請要件
訓練開始日の6か月前から1か月前までに管轄の労働局へ提出(人材育成支援コースの場合)
申請の難易度
要件の確認や書類の整備に、一定の準備期間が必要です。公募要領(助成金は支給要領)を読み、必要な書類から計画的にそろえてください。
制度の概要
人材開発支援助成金は、厚生労働省が所管する、雇用する被保険者に職務に関連した訓練を受けさせた事業主に、訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を助成する助成金です。令和8年度は7コース(人材育成支援/教育訓練休暇等付与/人への投資促進/事業展開等リスキリング支援/建設労働者認定訓練/建設労働者技能実習/障害者職業能力開発)に分かれます。
中小企業の経費助成率は45〜100%で、コース・雇用形態・賃金要件によって異なります。最大の100%は、有期契約労働者等を正社員化する「有期実習型訓練」で、賃金要件等も満たした場合です。
主なコースの助成率・助成額(令和8年度)
以下の「賃金要件等を満たす場合」とは、訓練修了後に受講者の賃金を5%以上引き上げた場合、または資格等手当を就業規則等に定めて支払い、賃金を3%以上引き上げた場合です。
人材育成支援コース
OFF-JTは実訓練時間10時間以上の、職務に関連した知識・技能の訓練が対象です。
| 訓練 | 経費助成率(中小企業) | 賃金要件等を満たす場合 |
|---|---|---|
| 人材育成訓練(正規雇用労働者等) | 45% | 60% |
| 人材育成訓練(有期契約労働者等) | 70% | 85% |
| 認定実習併用職業訓練 | 45% | 60% |
| 有期実習型訓練(正社員化した場合) | 75% | 100% |
| 中高年齢者実習型訓練 | 60% | 75% |
- 大企業の経費助成率は、人材育成訓練(正規雇用労働者等)と認定実習併用職業訓練が30%(賃金要件等を満たす場合45%)、中高年齢者実習型訓練が45%(同60%)です
- 賃金助成は1人1時間あたり中小企業800円(同1,000円)、大企業400円(同500円)。eラーニング・通信制の訓練は経費助成のみです
- OJT実施助成は1人1コースあたり、認定実習併用職業訓練が中小企業20万円(同25万円)、有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練が中小企業10万円(同13万円)
- 経費助成には1人1訓練あたりの限度額があり、中小企業は実訓練時間10時間以上100時間未満15万円/100時間以上200時間未満30万円/200時間以上50万円です
教育訓練休暇等付与コース
有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合に、定額で30万円(賃金要件等を満たす場合36万円)が助成されます。
人への投資促進コース
| メニュー | 経費助成率・助成額(中小企業。→は賃金要件等を満たす場合、カッコ内は大企業) | 賃金助成(1人1時間、中小企業) |
|---|---|---|
| 高度デジタル人材訓練 | 75%(60%) | 1,000円(大企業500円) |
| 成長分野等人材訓練 | 75% | 1,000円(国内の大学院を利用した場合) |
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | 60%→75%(45%→60%) | 800円→1,000円 |
| 定額制訓練(サブスクリプション型) | 60%→75%(45%→60%) | なし |
| 自発的職業能力開発訓練 | 45%→60% | なし |
| 長期教育訓練休暇制度 | 制度導入 20万円→24万円 | 1,000円(有給休暇の場合) |
| 教育訓練短時間勤務等制度 | 制度導入 20万円→24万円 | なし |
事業展開等リスキリング支援コース(令和8年度末までの時限措置)
- 経費助成率は中小企業75%(大企業60%)、賃金助成は1人1時間あたり中小企業1,000円(大企業500円)
- 経費助成の限度額は1人1訓練あたり、中小企業で30万円(10時間以上100時間未満)/40万円(100時間以上200時間未満)/50万円(200時間以上)。eラーニング・通信制の訓練は15万円です
- 設備投資加算は導入費用の50%で、対象労働者1人につき15万円、10人以上なら人数にかかわらず150万円が限度です
1事業所あたりの年度限度額
1事業所が1年度(4月1日〜翌年3月31日。支給申請日で判定)に受け取れる額は、コースごとに決まっています。
| コース | 1事業所1年度あたりの限度額 |
|---|---|
| 人材育成支援コース | 1,000万円 |
| 教育訓練休暇等付与コース | 制度導入30万円 |
| 人への投資促進コース(成長分野等人材訓練を除く) | 2,500万円(うち自発的職業能力開発訓練は300万円まで) |
| 成長分野等人材訓練 | 1,000万円 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 1億円 |
制度ページ上部の「補助上限 最大1億円」は、事業展開等リスキリング支援コースの年度限度額です。実際の助成額は、1人1訓練あたりの限度額と受講人数・訓練時間で決まるため、多くの事業所ではこの限度額よりかなり小さくなります。
対象になる訓練
| 訓練種別 | 対象? |
|---|---|
| 外部講師による座学(OFF-JT) | ◯(実訓練時間10時間以上) |
| eラーニング・通信制 | ◯(経費助成のみ。賃金助成は対象外。自社主催の事業内訓練では対象外) |
| OJT | 一部(厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練など) |
| 社内の役職員が講師の研修 | △(講師謝金は対象外) |
| 通常業務の中での指導 | ❌ |
| 経営者だけの研修 | ❌(対象は雇用する被保険者) |
申請の要件
- 雇用保険の適用事業所の事業主で、訓練を受けるのはその事業所の雇用保険被保険者であること
- 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知していること(計画届を出す日までに)
- 職業訓練実施計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに労働局へ提出すること(定額制訓練は契約期間の初日が基準)
- 通学制・同時双方向型の訓練は、受講者の受講時間が実訓練時間の8割以上であること(人材育成支援コース。eラーニング・通信制は訓練の修了が必要)
採択率と難易度
審査採択型ではなく、支給要件を満たせば支給される助成金型です(採択率という概念はなじみません)。計画届の期限と受講記録の管理ができれば、受給の見通しは立てやすい制度です。
注意点
- 計画届の提出期間(訓練開始日の6か月前から1か月前まで)を過ぎた訓練は対象外
- eラーニング・通信制の訓練と、所定労働時間外・休日の受講分は賃金助成の対象外
- 同じ訓練経費を複数の助成金で重ねて受けることはできない。他の助成金との組み合わせは雇用関係助成金の併給ルールを参照
- 支給申請には受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)が必要(令和8年5月14日の支給要領改正。計画届をいつ出したかを問わず、同日時点で支給申請をしていないもの、支給申請済みでも支給・不支給の決定前のものが対象)
申請の流れ
- 職業訓練実施計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出
- 計画に沿って訓練を実施し、受講時間と経費の支払を記録
- 訓練終了日の翌日から2か月以内に、疎明書(様式第28号)を添えて支給申請
- 労働局の審査 → 支給決定 → 振込(審査にかかる期間は公表されていません)
よくある質問
Q. 社長(役員)や個人事業主本人の研修も対象になりますか?
A. 雇用保険の被保険者でなければ対象になりません。訓練を受ける対象労働者は、申請事業主の雇用保険適用事業所で雇用保険の被保険者になっている人に限られます。個人事業主でも、雇用保険適用事業所の事業主として、雇っている被保険者に訓練を受けさせる場合は申請できます。
Q. eラーニングや生成AIなどのオンライン研修も対象ですか?
A. 対象になり得ます。人材育成支援・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援の各コースでeラーニングと通信制の訓練も対象で、標準学習時間10時間以上(標準学習期間だけが決まっている場合は1か月以上)が必要です。ただし賃金助成はなく経費助成のみで、自社が主催する事業内訓練として行う場合は、通学制か同時双方向型のオンライン訓練に限られます。AIに関する研修の受講料は対象経費になりますが、研修とセットで導入するAIツールの費用は対象経費になりません。
Q. 職業訓練実施計画届はいつまでに出しますか?
A. 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、管轄の労働局へ提出します(定額制訓練は契約期間の初日が基準)。この期間に出していない訓練は支給されず、計画を変えるときも期日までに変更届を出さないと、変更した部分は助成の対象になりません。計画届を出す日までに、職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・労働者への周知も済ませておく必要があります。
Q. 経費助成率100%になるのはどんな場合ですか?
A. 人材育成支援コースの「有期実習型訓練」で、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換し、さらに訓練修了後に賃金を5%以上(資格等手当を支払う場合は3%以上)引き上げた場合です(中小企業の経費助成率75%に25%を加算)。100%の場合も、1人1訓練あたりの経費助成限度額(中小企業は実訓練時間に応じて15万円・30万円・50万円)の範囲内で、有期実習型訓練は同じ事業主が同じ労働者に対して1回までです。
Q. 社内研修(自社の社員が講師)も対象になりますか?
A. 対象になり得ます。申請事業主が企画・主催する「事業内訓練」として、職務に関連した実訓練時間10時間以上の訓練を、計画届どおりに通学制(集合形式)か同時双方向型のオンラインで行う必要があります。講師は部内講師・部外講師の区分ごとに決められた講師要件を満たす必要があり、対象経費に挙がっている謝金は部外講師への謝金(1時間1万5千円まで)です。通常の業務の中で行う指導はOFF-JTに当たりません。
Q. 支給申請の期限と、支給されるまでの期間は?
A. 原則として訓練終了日の翌日から2か月以内に、管轄の労働局へ支給申請します(過ぎると支給されません)。人への投資促進コースで資格試験の受験料を含めて申請する場合は受験日の翌日から2か月以内、定額制訓練は訓練の実施期間の最終日の翌日から2か月以内です。支給決定までの期間は公表されていませんが、パンフレットは確認項目が多いため、他の助成金よりも支給可否の決定までに時間がかかるとしています。
情報源
- 人材開発支援助成金(厚生労働省)
- 人材育成支援コース パンフレット(令和8年8月3日以降の計画届が対象)
- 人への投資促進コース パンフレット(令和8年8月3日現在)
- 事業展開等リスキリング支援コース パンフレット(令和8年8月3日現在)
最終確認日: 2026年9月21日(支給要領 令和8年8月3日版の 0804・1402、厚生労働省の制度ページのお知らせで疎明書〔様式第28号〕を確認。全文は2026年9月15日に令和8年度の各コースのパンフレット 2026年8月3日版で確認)
→ 詳細は 人材開発支援助成金 申請判定ガイド
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本制度は、職業訓練実施計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに管轄の労働局へ提出(人材育成支援コースの場合)することが前提です。期限を過ぎると支給の対象になりません。要件と期限は最新の支給要領で確認してください。