結論
創業・起業のときに使える補助金・助成金は、自治体の制度が中心です(2026年9月時点)。代表的なのは東京都創業助成金で、上限400万円・助成率2/3です。
国の補助金にも、創業まもない事業者が申請できるものがあります。持続化補助金は、決算期を一度も迎えていない事業者でも売上台帳などで申請でき、新事業進出・ものづくり補助金も一部の枠で新設・創業の事業者を受け付けています。
どの制度も支払は後払いなので、創業融資との組み合わせが現実的な資金計画になります。
1. 創業時に使える主な制度
東京都創業助成金(東京都・東京都中小企業振興公社)
都内で創業予定の個人や、創業5年未満の中小企業者等が対象です(令和8年度 第2回 募集要項)。
- 助成率: 2/3以内
- 助成額: 上限400万円・下限100万円(事業費と人件費の分は上限300万円、委託費の分は上限100万円。事業費を必ず含める)
- 対象経費: 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費(事業費)、従業員人件費(人件費)、市場調査・分析費(委託費)
- 助成対象期間: 交付決定日から6か月以上、最長2年
- 必須: TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングの終了や、区市町村の認定特定創業支援等事業、東京都中小企業制度融資(創業融資)など、指定された23種類の創業支援事業のいずれかの利用
- 対象外: 個人事業主・法人の登記上の代表者として通算5年以上の経営経験がある方
- 採択の実数: 令和7年度は申請1,225人・採択201人(算出すると約16%)
- 第2回の申請: 2026年9月29日10:00〜10月8日23:59(Jグランツのみ。GビズIDプライムが必要)。交付決定は2027年3月1日(予定)
区市町村・都道府県の創業補助金
東京都以外でも、区市町村や都道府県が独自の創業補助金を設けていることがあります。金額・要件・募集時期は自治体ごとに違い、年度で変わるため、「自治体名 創業 補助金」で検索するか、区市町村の産業振興の窓口や地域の商工会議所・商工会に問い合わせてください。
区市町村の「認定特定創業支援等事業」の支援を受けた証明を要件にする制度もあります(東京都創業助成金では、23種類の創業支援事業の1つとして認められています)。
小規模事業者持続化補助金
創業まもない小規模事業者も申請できます。第20回の公募要領では、決算期を一度も迎えていない場合、法人は売上台帳等の写し(と履歴事項全部証明書)、個人事業主は開業届と売上台帳等の写しで申請できます。地域の商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)を発行してもらう必要があります。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
大型の設備投資を伴う事業向けです。決算期を一度も迎えていない新設・創業の事業者も、革新的新製品・サービス枠とグローバル枠では、履歴事項全部証明書(法人)や開業届(個人事業主)を添付して申請できます(応募申請ガイド 第1回)。一方、新規設立・創業後1年に満たない事業者は、新事業進出枠の対象外です(公募要領 第1回)。
2. 創業融資との組み合わせ
補助金・助成金は、事業を実施して経費を支払ったあとに受け取る後払い(精算払い)です。支払までの資金は自分で用意する必要があります。
- 日本政策金融公庫の創業向けの融資
- 東京都中小企業制度融資(創業融資)や、区市町村の創業者向け制度融資(信用保証協会の保証付き)
融資の限度額・自己資金の目安・担保の要否は、各機関の最新の案内で確認してください。なお東京都では、東京都中小企業制度融資(創業融資)、区市町村の創業者向け制度融資(東京信用保証協会の保証付き)、政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)の利用が、東京都創業助成金の事前要件(23種類の創業支援事業)にも含まれます。
3. 創業時の制度の選び方
| 制度 | 対象 | 助成率・補助率 | 上限 | 事前に必要なこと | 直近の申請受付 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都創業助成金 | 都内で創業予定の個人、創業5年未満の中小企業者等 | 2/3以内 | 400万円(下限100万円) | 指定された23種類の創業支援事業のいずれかの利用 | 第2回 2026年9月29日〜10月8日(Jグランツ) |
| 区市町村・都道府県の創業補助金 | 自治体ごとに異なる | 自治体ごとに異なる | 自治体ごとに異なる | 認定特定創業支援等事業の証明を求める制度もある | 自治体ごとに異なる |
| 持続化補助金 | 開業している小規模事業者(決算期前でも売上台帳などで申請可) | 2/3 | 50万円(特例で最大250万円) | 商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4) | 第20回 2026年11月5日〜12月15日17:00 |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 中小企業者等(新設・創業の事業者は革新的新製品・サービス枠とグローバル枠で申請可) | 1/2〜2/3(枠・規模による) | 750万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) | 一般事業主行動計画の公表などの基本要件 | 第1回 2026年9月30日〜10月30日18:00 |
自治体の創業助成金が合う人
- 賃借料・広告費・従業員人件費などの創業期の経費を抑えたい
- 事前要件の創業支援事業を、申請までに利用できる
- 交付決定(第2回は2027年3月1日予定)と、6か月以上の助成対象期間の後の支払まで、資金が回る
持続化補助金が合う人
- 小規模事業者で、販路開拓・販促に使いたい
- 地域の商工会・商工会議所の支援を受けられる
融資を中心にして補助金で負担を軽くする人
- すぐに運転資金が必要
- 設備投資や在庫の仕入れがある
- 補助金の審査結果を待っていられない
4. 落とし穴
落とし穴1: 事前の創業支援の利用に時間がかかる
東京都創業助成金の事前要件のうち、TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングは、募集要項で「要件を満たすためには、概ね3か月程度の時間が必要」とされています(公式ページも「申請要件2を満たすには概ね3か月以上」と案内)。思い立ってから申請までに間に合わないことがあります。
落とし穴2: 「創業5年未満」の数え方
東京都創業助成金では、法人は法人登記日、個人事業主は開業届の提出日から5年未満であることが要件です。また、個人事業主や法人代表者としての経営経験が通算5年以上ある方は対象外です。
落とし穴3: 交付決定の前に使ったお金
東京都創業助成金の対象は、交付決定日以降の助成対象期間内に契約・履行・支払をした経費です。創業時にすでに使った経費は対象になりません(賃借料と従業員人件費は、助成対象期間の前に契約したものも対象)。
落とし穴4: 後払いの資金繰り
採択されても、支払は事業実施後です。助成金がなくても事業を進められる資金計画が前提になります(東京都創業助成金は、これを申請要件に含めています)。
5. 申請を勧めるケース
- 自治体の創業補助金の対象地域で創業する予定がある
- 事前要件の創業支援事業を利用済み、または申請までに利用できる
- 自己資金や融資で、支払までの資金を用意できる
- 事業計画書を自分で作れる(支援機関の助言を受けながらでもよい)
6. 申請を勧めないケース
- 1〜2か月以内に資金が必要
- 事前要件の創業支援事業を申請までに利用できない
- 助成金がないと資金が回らない
- 事業計画が固まっていない
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7. よくある質問
Q. 創業前と創業後、どちらで申請すべきですか?
A. 制度によって違います。東京都創業助成金は、都内での創業を具体的に計画している個人も対象ですが、経費は交付決定日以降に契約・支払をしたものに限られます。持続化補助金は申請時点で開業していることが要件で、決算期を迎える前なら売上台帳などで申請できます。新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠は、創業後1年に満たない事業者は対象外です。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
A. 東京都創業助成金・持続化補助金とも、個人事業主が申請できます。東京都創業助成金で個人として申請し、あとで法人化する場合は、基準日(令和8年度第2回は2027年1月5日)に注意してください。
Q. 副業・兼業で創業しても対象ですか?
A. 制度ごとの要件で決まります。東京都創業助成金では、経営経験が通算5年以上ある方は対象外など、個別の要件があるので募集要項で確認してください。
Q. 創業助成金と創業融資は併用できますか?
A. 融資と助成金の併用自体は問題ありません。東京都では、制度融資(創業融資)の利用が東京都創業助成金の事前要件の1つにもなっています。ただし、東京都創業助成金と同一の経費に、ほかの助成金・補助金を重複して受けることはできません。
8. 情報源
- TOKYO創業ステーション 創業助成事業
- 令和8年度 第2回 創業助成事業 募集要項(PDF)
- TOKYO創業ステーション 創業助成事業 過去の採択情報
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領(PDF)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領 第1回(PDF)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 応募申請ガイド 第1回(PDF)
最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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