結論
ECサイトに関係する国の補助金は、使い方によって制度が分かれます(2026年9月時点の公募要領で確認)。
- ECサイトの作成・更新: 小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」。ただし第20回は補助金額30万円(税込)が上限で、ウェブサイト関連費だけでは申請できない
- 受発注・決済・在庫管理などのソフトウェアの導入: デジタル化・AI導入補助金。対象は事務局に登録されたITツールだけ
- どちらも交付決定前に契約・発注したものは対象外
1. EC関連で使える主な補助金
小規模事業者持続化補助金(第20回)
ウェブサイト関連費の対象例に「商品販売のためのウェブサイト作成や更新」や、商品販売のためのウェブサイトに掲載する宣材写真・動画の制作費が挙げられています。
- 補助率: 2/3(賃金引上げ特例を使う赤字事業者は3/4)
- 補助上限: 50万円(特例で最大250万円)。ただしウェブサイト関連費は30万円(税込)まで・単独申請不可
- 対象外の例: ウェブサイト関連のコンサルティング費用、既に導入しているソフトウェアの更新料、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ
- 契約期間が補助事業期間を超えるソフトウェア使用権は、補助事業期間分だけが対象(按分)
- 50万円(税抜)以上で作成・更新したウェブサイトは「処分制限財産」になり、一定期間(通常は取得日から5年間)は目的外使用・譲渡・廃棄などが制限されることがある
- 対象者: 小規模事業者(商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下)
- 必須: 商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)
デジタル化・AI導入補助金
補助の対象は、事務局に登録されたITツールです。通常枠のソフトウェアは「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収」「供給・在庫・物流」などの業務プロセスを1つ以上持つ必要があります。
- 通常枠: 補助率1/2以内(条件付きで2/3以内)、補助額5万〜450万円(150万円以上は4プロセス以上)
- インボイス枠(インボイス対応類型): 会計・受発注・決済のインボイス対応ソフトウェア。50万円以下の部分は補助率3/4以内(小規模事業者4/5以内)
- IT導入支援事業者と共同で、申請マイページから申請
- 150万円以上の申請などには賃上げ要件があり、未達だと返還を求められる
使いたいサービスが登録されているかは、公式の「ITツール検索」で確認してください。
東京都創業助成金を検討している場合
東京都創業助成金の広告費にはホームページ作成が含まれますが、募集要項は「オンラインショップの出店費用、自社ホームページ内の商品・サービス販売ページに関する費用」と、ホームページで予約・決済等を行うためのシステム構築費用を対象外としています。ECサイトの構築費には使えません。
2. 制度比較表
| 項目 | 持続化補助金(第20回) | デジタル化・AI導入補助金(通常枠) |
|---|---|---|
| EC関連で対象になるもの | ECサイトの作成・更新、掲載する写真・動画の制作 | 登録ITツール(ソフトウェア、クラウド利用料は最大2年分) |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例を使う赤字事業者は3/4) | 1/2以内(条件付き2/3以内) |
| 補助額 | ウェブサイト関連費は30万円(税込)まで | 5万〜450万円 |
| 単独申請 | ウェブサイト関連費だけでは不可 | 可(業務プロセスを持つツール) |
| 申請 | 事務局の電子申請システム(商工会・商工会議所の様式4が必要) | 申請マイページ(IT導入支援事業者と共同) |
| 直近の締切 | 2026年12月15日17:00 | 2026年9月29日17:00(5次) |
3. 「EC構築で補助金」の落とし穴
落とし穴1: 交付決定前に契約・発注する
どちらの制度も、交付決定前の契約・発注は補助対象外です。すでに契約したECサービスや制作会社への発注は、後から補助の対象にできません。
落とし穴2: 持続化補助金の上限を見落とす
持続化補助金の上限250万円は、特例を2つ使ったときの合計です。ウェブサイト関連費として補助されるのは30万円(税込)までで、EC構築費だけでは申請できません。
落とし穴3: 登録ITツールかを確認しない
デジタル化・AI導入補助金の補助対象経費は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用です。登録されていない自社専用のECシステムの開発費は対象になりません。
落とし穴4: 報告や賃上げの約束を軽く見る
デジタル化・AI導入補助金は交付決定後に事業実施効果報告(通常枠は計4回)があり、150万円以上の申請などでは賃上げ目標の未達が返還の条件になります。持続化補助金も、事業終了から1年後の報告が必要です。
落とし穴5: 入金までの期間
どちらも精算払い(後払い)で、経費はいったん全額を自社で支払います。
- 持続化補助金(第20回): 採択発表は2027年3月頃(予定)、交付決定は採択発表から概ね1〜2か月かかる場合がある(公募要領の目安)。事業実施期限は2028年3月31日、実績報告の期限は4月10日
- デジタル化・AI導入補助金(通常枠5次): 交付決定は2026年11月9日(予定)、事業実施と実績報告の期限は2027年4月30日17:00(予定)
4. 申請を勧めないケース
- 1〜2か月以内にECサイトを立ち上げたい
- 既に契約・発注している
- 自社専用のECシステムを開発したい
- EC構築費だけで申請したい(持続化補助金)
- 費用を全額立て替える資金がない
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5. よくある質問
Q. 特定のECサービスは補助金の対象ですか?
A. デジタル化・AI導入補助金では、そのサービスが事務局に登録されたITツールかどうかで決まります。公式の「ITツール検索」で確認してください。当サイトでは個別サービスの登録状況は確認していません。
Q. すでに使っているECサービスの利用料は対象ですか?
A. 交付決定前に契約したものは、どちらの制度でも対象外です。
Q. EC運営のためのネット広告は対象ですか?
A. 持続化補助金では、インターネット広告やSNS広告は「広報費」の対象です。広報費も補助金額30万円(税込)が上限で、単独では申請できません。
6. 情報源
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領(PDF)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠/PDF)
- デジタル化・AI導入補助金 事業スケジュール
- TOKYO創業ステーション 創業助成事業
- 令和8年度 第2回 創業助成事業 募集要項(PDF)
最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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補助金は公募ラウンドごとに要件・補助率・締切が変動します。「最終確認日 2026/9/15」以降に変更があった場合、 お問い合わせフォームからお知らせください。一次資料で確認のうえ、誤りがあれば速やかに修正します。
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