補助金の申請代行は頼むべき?報酬の仕組み・選び方・自社対応との比較

補助金の申請代行には公的な報酬相場がなく、報酬の形も業者ごとに違います。新事業進出・ものづくり補助金は事業計画の代筆を認めず、支援者の報酬額の入力も必要です。無料の相談先や認定支援機関との比較で判断します。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

補助金の申請代行には公的な報酬相場がなく、報酬の決め方は業者ごとに違います。「採択されたら成功報酬」の業者もいますが、採択を保証する業者は信用しないでください。新事業進出・ものづくり補助金は事業計画の作成そのものを申請者以外が行うことを認めておらず、発覚すると不採択・採択取消・交付決定取消になります。認定経営革新等支援機関の確認書が必須の制度(事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠など)もあります。代行を頼む前に「自社対応・公的な相談先・有料の支援」を比較してください。

結論

補助金の申請代行には公的な報酬相場がなく、着手金・成功報酬・顧問料などの組み合わせは業者ごとに違います。「採択されたら成功報酬」という業者もいますが、採択を保証する業者は信用しないでください。

また、制度によっては「代行」そのものに制約があります。新事業進出・ものづくり補助金は、外部からの助言は認める一方で、事業計画の作成そのものを申請者以外が行うことは認めていません。反対に、認定経営革新等支援機関の確認書が必須の制度(事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠・廃業・再チャレンジ枠)もあります。代行を頼む前に 自社対応・公的な相談先・有料の支援 を比較した上で判断してください。

1. 補助金の支援の種類

補助金の支援には種類があり、費用もサービス範囲も異なります。

支援の種類 費用 主な役割
商工会・商工会議所(経営指導員) 各商工会・商工会議所に確認 持続化補助金の事業支援計画書(様式4)の発行、経営計画づくりの相談
よろず支援拠点 無料 国が設置した経営相談窓口(47都道府県)
認定経営革新等支援機関 機関ごとに異なる 確認書が必須の制度での確認、事業計画の助言
民間コンサル・行政書士 契約ごとに異なる 計画づくりの助言、書類の準備支援

2. 代筆・代行の制約

制度のルール

  • 新事業進出・ものづくり補助金: 認定支援機関を含む外部支援者から助言を受けることは差し支えありませんが、事業計画の作成そのものを申請者以外が行うことは認められず、発覚すると不採択・採択取消・交付決定取消になります。支援を受ける場合は、支援者名・支援内容・報酬(予定)額・契約期間を電子申請システムに入力し、入力しないと不採択・採択取消・交付決定取消の対象です
  • デジタル化・AI導入補助金: IT導入支援事業者と中小企業等が共同事業体となって申請する仕組みです。ただし申請マイページのログインIDとパスワードは、IT導入支援事業者を含む第三者に渡してはいけません
  • 持続化補助金: 小規模事業者自身が商工会・商工会議所の支援を直接受けながら取り組む事業とされ、社外の代理人だけで商工会・商工会議所へ相談したり、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼したりすることはできません

行政書士法

行政書士法第1条の3は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)などを作成することを行政書士の業務と定めています。第19条第1項は、行政書士・行政書士法人でない者がこの業務を業として行うことを制限しています(他の法律に別段の定めがある場合などを除く)。

2026年1月1日施行の改正(令和7年法律第65号)で、第19条第1項に「いかなる名目によるかを問わず」の文言が加わりました。日本行政書士会連合会の会長談話(2025年11月1日)は、「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」などどんな名目でも、対価を受けて業として官公署に提出する書類などを作成すれば第19条第1項に違反することが明確になったもので、改正の施行前でもこうした行為は同条に違反すると説明しています。

項目 条文
違反した者 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(第21条の2)
法人の従業者などが業務に関して違反した場合 行為者に加えて、法人にも罰金刑(第23条の3)

条文が制限しているのは第1条の3の書類の作成で、助言や相談そのものを制限する規定ではありません。ただし「コンサルティング」の名目でも、実際に申請書類を作成して報酬を得ていれば、名目を問わないとした第19条第1項の対象になりえます。

なお、雇用保険法など労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成は、社会保険労務士法第2条・第27条により、社会保険労務士・社会保険労務士法人でない者が報酬を得て業として行うことが制限されています。行政書士法第1条の3第2項は、他の法律で制限されている業務は行政書士も行えないと定めています。

「業者が全部書いて、事業者はログインIDを渡すだけ」という進め方は、上の制度のルールにも反します。事業計画は自社で書き、外部には助言と確認を頼むのが安全です。

3. 報酬の仕組みと確認ポイント

報酬の形は主に次の3つです。金額や割合の公的な相場はないため、契約前に総額を試算してください。

報酬の形 確認ポイント
着手金 + 成功報酬 不採択のときに着手金が返るか。成功報酬は「採択時」か「補助金の入金時」か
顧問料 + 成功報酬 顧問契約の期間と解約条件
完全成功報酬 成功報酬の算定基準(申請額か、交付決定額か、確定額か)

試算の例(計算方法を示すための仮の数字で、相場ではありません): 着手金10万円・成功報酬が補助金額の15%という契約で、補助金200万円が確定した場合、報酬は 10万円 + 200万円 × 15% = 40万円(補助金の20%)です。

成功報酬を「採択時」に払う契約だと、その後に交付決定額が減額されたり、実績報告で補助金額が減ったりしても、報酬が減らないことがあります。

4. 代行業者を使うメリット

メリット1: 計画書の抜け漏れを減らせる可能性

公募要領の審査項目や対象経費に詳しい支援者の助言で、計画書の抜け漏れや経費の計上ミスを減らせる可能性があります。ただし、計画書の作成そのものは申請者自身が行う必要がある制度があります(第2章)。

メリット2: 事業者の時間が空く

公募要領の読み込み、書類の準備、申請手続きの負担を減らせます。ただし事業計画の中身は自社で考え、書く必要があります。

メリット3: 採択後の実績報告サポート

契約によっては、採択後の実績報告書確定検査の準備の支援も業務範囲に含まれます。どこまでが報酬の範囲かを契約書で確認してください。

5. 代行業者を使うデメリット

デメリット1: 補助金の一部が報酬で消える

上の試算の例なら、補助金200万円のうち40万円が報酬です。また、補助金は法人税・所得税の課税対象です(持続化補助金 第20回 公募要領)。報酬の支払いを含めた税務の扱いは、補助金の課税と圧縮記帳を参考に税理士へ確認してください。

デメリット2: 業者依存で経営リテラシーが育たない

計画づくりを毎回外部に任せると、事業計画を考えるノウハウが社内に残りにくくなります。採択後の実績報告や事業の実施で、計画の中身に責任を負うのは事業者自身です。

デメリット3: 「採択保証」には根拠がない

「採択を保証します」と言う業者は信用しないでください。採択は審査の結果なので、事前に保証することはできません

デメリット4: 使い回しの計画書は対象外になりうる

新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、他の法人・事業者と同一または類似した内容の事業を補助対象外としています。金融機関や外部支援者が故意または重過失で同一・類似の申請を主導した場合は、以降その支援者が関与した申請を受け付けない、または審査対象としない可能性があるとしています。代筆が発覚すれば、不採択・採択取消・交付決定取消の対象です。

デメリット5: 悪質な業者もいる

新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、サービスの内容とかい離した高額な成功報酬の請求や、金額・条件が不透明な契約、強引な働きかけを「不適切な行為の例」として注意を呼びかけています。事業承継・M&A補助金(16次)の公募要領も、実際の費用とかい離した高額な成功報酬等を請求する悪質な業者に注意するよう求めています。契約前に、法人の実在・実績・契約書の条件を確認してください(→ 補助金詐欺・悪質コンサルの見分け方)。

6. 代行を勧めるケース

  • 経営計画書を書くスキル・時間がない
  • 過去に補助金実績があり評判が確認できる業者
  • 契約条件(着手金・成功報酬・解除条件)が明確
  • 事業者本人が計画を書き、支援者は助言・確認に回る体制が組める
  • 補助金額が大きく、報酬を払っても効果が大きい

7. 代行を勧めないケース

  • 「採択保証」を強調する業者
  • 契約書を出す前に着手金を求める業者
  • 報酬の総額や算定基準を契約書で説明できない
  • 業者主導で事業計画が決まる、または計画を丸ごと代筆する(事業者の主体性なし)
  • 申請マイページや電子申請システムのID・パスワードを預けるよう求める
  • 商工会・商工会議所の支援で足りる制度(持続化補助金など)

→ あなたの状況で代行が必要か 3分で無料診断

8. 代替手段

商工会議所・商工会の経営指導員

持続化補助金は、地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必須です(第20回は発行受付の締切が2026年12月4日)。経営計画づくりの相談先として、まず訪ねる窓口です。

認定経営革新等支援機関

税務・金融・企業財務に関する専門的知識や支援の実務経験が一定レベル以上の個人・法人・中小企業支援機関等を、国が経営革新等支援機関として認定したものです(中小企業庁)。関与が必要かは制度で違います。

  • 新事業進出・ものづくり補助金: 関与は任意(助言は可・代筆は不可)
  • 事業承継・M&A補助金(16次): 事業承継促進枠・廃業・再チャレンジ枠は、公募申請に認定支援機関の確認書が必要。専門家活用枠・PMI推進枠の公募要領には確認書の提出の定めはない

よろず支援拠点

国が設置した無料の経営相談窓口で、47都道府県にあります。補助金の事前相談にも使えます。

J-Net21(中小機構)

中小機構が運営する中小企業ビジネス支援サイトで、国や自治体の補助金・助成金などの支援情報を掲載しています。制度の全体像をつかむのに使えます。

よくある質問

Q. 着手金を払ったが業者と連絡が取れなくなった。返金は?

A. まず契約書の解除条項と返金条件を確認してください。虚偽の説明でお金をだまし取られた疑いがあれば警察に、返還請求は弁護士に相談します。これから契約する場合は、着手金の返金条件が書面にあるかを契約前に確認してください。

Q. 行政書士資格がない業者は違法?

A. 行政書士・行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を業として行うことは、行政書士法第19条第1項で制限されています(違反は第21条の2で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、法人にも第23条の3で罰金刑)。条文が対象にしているのは書類の作成で、助言や相談そのものを制限する規定ではありません。なお、資格の有無にかかわらず、新事業進出・ものづくり補助金は事業計画の作成そのものを申請者以外が行うことを認めていません。

Q. 採択後にしか報酬を払わない契約は安全?

A. 不採択のときの負担はなくなりますが、それだけで安全とは言えません。報酬の算定基準(採択時の申請額か、確定した補助金額か)、支払時期、途中解約の条件を契約書で確認してください。

Q. 認定支援機関の関与は必要?費用は?

A. 制度によります。新事業進出・ものづくり補助金は任意、事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠・廃業・再チャレンジ枠は確認書が必須です。費用は機関ごとに異なるため、依頼前に確認してください。

情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

次に読むべき記事

この記事の情報が古い・誤りがあると感じたら

補助金は公募ラウンドごとに要件・補助率・締切が変動します。「最終確認日 2026/9/15」以降に変更があった場合、 お問い合わせフォームからお知らせください。一次資料で確認のうえ、誤りがあれば速やかに修正します。

訂正・更新提案を送る

あなたの状況で本当に申請すべき?

3分の入力で11制度を一括判定。「申請推奨」から「見送り推奨」まで5段階で評価します。

無料で診断する
3分で無料診断する 登録不要