結論
補助金は 交付決定通知書受領前の発注・契約・支払いが原則対象外です(2026年4月時点)。違反すると採択後でも該当経費は対象外になり、補助金が大幅減額されます。
ただし、事前着手承認制度 がある一部の制度では、公募開始前または交付決定前の発注も対象になる例外パターンがあります。
1. 「交付決定」とは何か
交付決定通知は、採択発表 → 補助金事務局からの正式な「補助金支給を確定する通知書」です。発出のタイミングは:
- 公募締切
- 採択発表(締切から2〜3ヶ月後)
- 交付申請書提出(採択者が提出)
- 交付決定通知発出(採択発表から数週間〜1ヶ月後)
- 事業実施期間スタート
つまり、「採択された」段階ではまだ発注できません。交付決定通知書を受領してから初めて発注可能になります。
2. 違反した場合の結末
| 違反パターン | 結果 |
|---|---|
| 交付決定前の発注書 | 該当経費の補助対象外 |
| 交付決定前の契約締結 | 同上 |
| 交付決定前の支払い | 同上 |
| 交付決定前の納品 | 同上(納品日が証憑となる) |
| 公募開始前から準備していた | 程度問題、要相談 |
軽微な違反(事前見積取得など)は許容されますが、契約・支払い・納品はNGです。
3. 事前着手承認制度とは
一部の補助金には、交付決定前の発注を例外的に認める制度があります。
対象となる主な制度(時期により変動)
- 中小企業新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)
- 中小企業省力化投資補助金(一部)
- 自治体の創業助成金(東京都創業助成金等、一部)
事前着手承認の要件
- 公募締切前に 事前着手承認申請書 を提出
- 事務局が事前承認 → その後の発注は対象
- ただし採択されなかった場合、全て自己負担
事前着手は「採択を信じてリスクを取れる事業者」だけが使うべき制度です。
4. 落とし穴
落とし穴1: 「採択されたから発注OK」と勘違い
採択発表 ≠ 交付決定。採択された後、交付申請書を提出 → 事務局審査 → 交付決定通知書受領 までが正しい流れ。
落とし穴2: 既存契約の支払いタイミングをずらすのはNG
「契約は3月だが支払いは交付決定後にする」は不可。契約日が証憑として記録されるため遡及して対象外になります。
落とし穴3: 同種設備の前倒し購入
「公募締切に間に合わないかもしれないから先に1台買って、採択されたら2台目から補助対象」は不可。同一事業計画内の発注は1台目から要件。
落とし穴4: 試作品開発で見切り発車
新商品開発系の補助金で、「試作品はもう作ってしまった」状態での申請は対象外。試作開発も交付決定後が原則。
落とし穴5: 海外発注での船積み日
海外メーカーから設備を購入する場合、**船積み日(B/L日付)**が発注日として記録されることがあります。交付決定後の船積みである必要があります。
5. 適切な発注タイミング
公募開始
↓
公募要領を熟読 → 計画書ドラフト
↓
公募締切前に申請(書類準備)
↓
公募締切
↓
採択発表(2〜3ヶ月後)
↓
交付申請書提出 ← ここまで発注NG
↓
★ 交付決定通知書受領 ★ ← ここから発注OK
↓
発注 → 契約 → 納品 → 支払い → 検収
↓
事業期間内に完了
↓
実績報告書提出
↓
確定検査 → 補助金振込
6. 例外的に許容されること
交付決定前でも問題ない作業:
- 見積もり取得(複数社相見積)
- 業者との内諾・打ち合わせ
- 事業計画書の作成・支援機関との相談
- 公募要領の確認・質問
- GビズIDプライムの取得
- 商工会議所での事業支援計画書(様式4)取得
これらは「契約・発注・支払い」ではないため対象外にはなりません。
7. 急ぎ案件の場合の選択肢
「どうしても急ぎで設備が欲しい」場合の選択肢:
- 補助金を諦めて自己資金で進める: 最も確実
- 事前着手承認制度のある制度を選ぶ: リスクは取る
- 次回ラウンドまで待つ: 投資先送り
- 融資 + 補助金併用: 一旦融資で進め、後から補助金で軽くする(同一経費の重複NG点に注意)
よくある質問
Q. 採択発表後すぐ発注しても大丈夫?
A. ダメです。交付決定通知書受領後まで待ってください。採択発表 → 交付決定までは数週間〜1ヶ月かかります。
Q. 既に発注した経費を取り下げて補助金申請できる?
A. 一度発注した経費は原則取り下げ不可。発注先と契約解除しても、契約日が記録に残ると対象外。
Q. 事前着手承認の申請費用はかかる?
A. 制度により異なります。多くの制度で申請自体は無料。
Q. 交付決定通知書がいつ届くか分からない場合は?
A. 事務局に問い合わせれば想定スケジュールを教えてもらえます。発注は通知書の現物受領後に。
情報源
最終確認日: 2026年4月26日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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