結論
販路開拓(チラシ・ネット広告・展示会・ECサイトなど)で使える国の補助金の中心は、小規模事業者持続化補助金です(第20回 公募要領 第8版で確認)。
- 補助率2/3、補助上限50万円(インボイス特例・賃金引上げ特例で最大250万円)
- 第20回は広報費とウェブサイト関連費がそれぞれ補助金額30万円(税込)までで、どちらも単独では申請できない
- 地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要
- 申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00、事務局の電子申請システムのみ
「広告費だけ」「ホームページだけ」を補助する制度ではなく、販路開拓の計画全体に対して補助する制度です。
1. 販路開拓で使える主な補助金
小規模事業者持続化補助金(第20回)
- 対象: 小規模事業者(商業・サービス業は従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下)
- 補助率: 2/3(賃金引上げ特例を使う赤字事業者は3/4)
- 補助上限: 50万円。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円
- 必須: 商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)。第20回の発行受付締切は2026年12月4日
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
新製品・新サービスの開発や新市場への進出を伴う大型の事業向けです。革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費が必須(新事業進出枠・グローバル枠は建物費とのいずれかが必須)です。広告宣伝・販売促進費も対象経費に含まれますが、広告だけを目的に使う制度ではありません。
東京都創業助成金(都内で創業予定・創業5年未満)
広告費(広告掲載、パンフレット、展示会出展、ホームページ作成など)が対象経費に含まれます。ただし、オンラインショップの出店費用や自社ホームページ内の商品・サービス販売ページに関する費用、販売を主目的とする展示会の出展費用は対象外です。上限400万円・助成率2/3以内で、指定された23種類の創業支援事業のいずれかの利用が要件です。
自治体の制度
区市町村・都道府県が独自の販路開拓支援を設けていることがあります。要件・金額・募集時期は自治体ごとに違うため、地域の商工会・商工会議所や自治体の産業振興の窓口で確認してください。
2. 持続化補助金で販路開拓に使える経費(第20回)
| 経費区分 | 対象の例 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 広報費 | チラシ・カタログ、新聞・雑誌広告、看板、インターネット広告、SNS広告・運用代行費、DM | 補助金額の上限30万円(税込)・単独申請不可。会社案内パンフレット、求人広告、名刺は対象外 |
| ウェブサイト関連費 | 商品販売のためのウェブサイト・ECサイトの作成や更新、効果や作業内容が明確なSEO対策、掲載する写真・動画の制作 | 補助金額の上限30万円(税込)・単独申請不可。ウェブサイト関連のコンサル費用、既に導入しているソフトの更新料は対象外 |
| 展示会等出展費 | 出展料、関連する運搬費・通訳料・翻訳料(オンライン展示会を含む) | 請求書の発行日や支払日が交付決定日より前のものは対象外(出展申込は交付決定前でも可) |
| 旅費 | 展示会・商談会へ出張する交通費・宿泊費 | 日当、タクシー代、レンタカー代、グリーン車などの付加料金は対象外 |
| 新商品開発費 | 試作品の原材料、新しい包装パッケージのデザイン | テストマーケティングや市場調査を伴うものに限る |
| 機械装置等費 | 販路開拓のための設備(ショーケース、調理器具など) | パソコン、タブレット、複合機、車両などは対象外 |
| 借料 | 機器のリース・レンタル、商品PRイベントの会場費 | 既存の事務所の家賃は対象外(販路開拓の一環で新たに借りる事務所は対象になる場合がある) |
| 委託・外注費 | 店舗改装、自社で実行が難しい業務の外注 | 営業代行、申請書類の作成費用は対象外 |
3. 審査の加点
第20回は、次の2つのグループからそれぞれ1種類(合計2種類まで)選べます。
- 重点政策加点: 赤字賃上げ、事業環境変化、東日本大震災、くるみん・えるぼし、健康経営優良法人
- 政策加点: 賃金引上げ、地方創生型、経営力向上計画、事業承継、過疎地域、一般事業主行動計画策定、後継者支援、小規模事業者卒業、事業継続力強化計画策定、令和6年能登半島地震等、地域別最低賃金引上げ
過去の補助事業の実施回数に応じた減点もあります。また、賃上げの加点を受けて採択されたのに未達だった場合は、報告から18か月間、中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されます。
4. 落とし穴
落とし穴1: 交付決定前に発注する
発注・契約・支払ができるのは「補助金交付決定通知書」に書かれた交付決定日からです。採択通知だけでは始められず、先に発注したチラシや広告は対象外になります。
落とし穴2: 広告やホームページに予算を寄せすぎる
広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ補助金額30万円(税込)が上限です。単独での申請もできないため、展示会出展や新商品開発など、ほかの経費と組み合わせた計画にする必要があります。
落とし穴3: 様式4の締切を見落とす
事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年12月4日で、申請締切の12月15日より早くなっています。締切後に発行を依頼することはできません。
落とし穴4: 入金までの期間を短く見積もる
第20回の採択発表は2027年3月頃(予定)で、交付決定には採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があります(公募要領の目安)。補助事業の実施期限は2028年3月31日、実績報告の期限は4月10日で、補助金は実績報告と補助金額の確定の後に支払われます。経費はいったん全額を自社で支払う必要があります。
落とし穴5: 事業終了後の報告を忘れる
補助事業の終了から1年後の状況を「事業効果等状況報告」で報告する義務があります。提出していないと、次の持続化補助金に申請できません。
5. 申請を勧めるケース
- 小規模事業者の基準(従業員5人以下、製造業その他は20人以下など)に当てはまる
- チラシ・ネット広告・展示会・新商品開発などを組み合わせた販路開拓の計画がある
- 商工会・商工会議所に、2026年12月4日までに様式4の発行を依頼できる
- 交付決定まで発注を待てる
- 事業実施期限(2028年3月31日)までの実施と、その後の実績報告・支払までの期間、経費を立て替えられる
6. 申請を勧めないケース
- 既に発注・契約した広告や販促物に使いたい
- 広告費だけ、ホームページ制作だけに使いたい
- 1〜2か月以内に広告を始めたい
- 実績報告や1年後の報告に対応する体制がない
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7. よくある質問
Q. 採択率はどれくらいですか?
A. 中小企業庁が発表した申請件数と採択件数から算出すると、一般型・通常枠の採択率は第17回が23,365件中11,928件で51.1%(2025年9月26日発表)、第18回が17,318件中8,229件で47.5%(2026年3月26日の修正後。当初発表は8,330件)、第19回が16,576件中7,819件で47.2%(2026年7月29日発表)です。およそ半数が不採択なので、計画の中身で差がつきます。回によって変わるため、申請前に直近の回の結果を確認してください。
Q. リスティング広告やSNS広告は対象ですか?
A. 第20回の公募要領では、インターネット広告やSNS広告は広報費の対象例に挙げられています。広報費は補助金額30万円(税込)が上限で、単独では申請できません。
Q. SNSの運用代行費は対象ですか?
A. 広報費の対象例に「SNS広告、運用代行費」が挙げられています。補助事業期間外の分は対象外です。
Q. ホームページの制作だけで申請できますか?
A. できません。ウェブサイト関連費だけでの申請は不可で、補助金額の上限も30万円(税込)です。
8. 情報源
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領(PDF)
- 小規模事業者持続化補助金 公式サイト
- 中小企業庁 持続化補助金 第19回公募の採択事業者の決定
- 中小企業庁 持続化補助金 第18回公募の採択事業者の一部修正
- 中小企業庁 持続化補助金 第17回公募の採択事業者の決定
- TOKYO創業ステーション 創業助成事業
最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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補助金は公募ラウンドごとに要件・補助率・締切が変動します。「最終確認日 2026/9/15」以降に変更があった場合、 お問い合わせフォームからお知らせください。一次資料で確認のうえ、誤りがあれば速やかに修正します。
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