繰越払い

クリコシバライ
最終確認 2026/9/15
ひとこと定義

繰越払いとは、補助事業期間内に払いきれなかった経費を翌年度に回して払うという意味で使われることがある言葉だが、法令や公募要領にある用語ではない。公式にあるのは国の予算の「繰越し」(財政法14条の3の繰越明許費、42条ただし書のいわゆる事故繰越)で、各省各庁の長が財務大臣の承認を経て行う手続。補助事業者の側では、補助事業期間内に支払いまで終えるのが原則で、遅れる見込みなら制度が定める報告や手続が必要になる。

繰越払いとは

「繰越払い」という言葉は、会計法・財政法・補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)にも、当サイトが確認した公募要領にも出てきません。 「補助事業期間内に払いきれなかった経費を、翌年度に回して払う」という意味で使われることがありますが、補助事業者が自分の判断でそうできる制度はありません。

法令上の「繰越し」は、国の予算を翌年度に使えるようにする国側の手続です。補助事業者から見て押さえるべきなのは、次の2点です。

  1. 国の予算には「繰越し」の仕組みがある(国が行う手続)
  2. 補助事業者は、補助事業期間内に契約から支払いまで終えるのが原則。終わらない見込みになったら、制度が定める報告・手続を行う

国の予算の「繰越し」(財政法)

国の予算は年度ごとに使い切るのが原則で、翌年度に使えるのは法律が認めた場合だけです。

種類 内容 根拠
繰越明許費 性質上または予算成立後の事由で年度内に支出が終わらない見込みの経費について、あらかじめ国会の議決を経て翌年度に繰り越して使えるようにしたもの 財政法14条の3
事故繰越 年度内に支出負担行為(契約など)をしたが、避け難い事故のため年度内に支出が終わらなかった経費を翌年度に繰り越すもの 財政法42条ただし書

どちらの場合も、各省各庁の長が繰越計算書を作り、事由と金額を明らかにして財務大臣の承認を経る必要があります(財政法43条)。繰越計算書の送付は原則として当該年度の3月31日までです(予算決算及び会計令24条)。

つまり繰越しは国(各省庁)が行う予算上の手続で、補助事業者が事務局に「繰越払い」を申請して認めてもらう仕組みではありません

補助事業者側のルール

補助事業期間内に支払いまで終えるのが原則

制度(公募回) 公募要領などの定め
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回) 補助事業実施期間内に契約(発注)・納入・検収・支払等のすべてを完了すること。期間の延長は原則認められない。ただし天災など補助事業者の責任によらない事由で期間内に完了できない場合は、延長が認められる場合がある
業務改善助成金(令和8年度) 設備投資等は交付決定の属する年度の1月31日までに行う(交付要綱4条。やむを得ない理由があれば、申請時に理由書を添付して3月31日までとすることもできる=交付要領)。予定の期間内に要件を満たせないと見込まれるときは、速やかに事業完了予定期日変更報告書(様式第7号)を所轄労働局長に提出し、その指示を受ける(交付要綱11条)。同様式には「要繰越額」の欄がある。リース・ライセンス・保守契約など交付決定の年度以外にも支出される経費は、交付決定の属する会計年度の支出に限り対象(交付要領)
小規模事業者持続化補助金(第20回) 補助事業実施期限までに支払いと事業の遂行が完了したものだけが補助対象

年度をまたぐ補助事業の実績報告

適正化法14条は、補助事業が完了したときだけでなく、交付決定に係る国の会計年度が終了したときにも実績報告を求めています。この年度終了時の実績報告書には、翌年度以降の補助事業の遂行に関する計画を附記します(計画に変更がない場合を除く。適正化法施行令8条)。

よくある誤解

  • 「期間内に払えなかった分は、翌年度に払えば補助される」→ 誤り。 支払いが補助事業期間の外になった経費は、原則として補助対象外です
  • 「事務局に繰越承認を申請すれば延ばせる」→ 誤り。 期間の延長や完了予定期日の変更の扱いは制度ごとに決まっており、延長を原則認めない制度もあります
  • 「国の予算が繰り越されたから、自社の事業期間も延びる」→ 別の話。 自社の補助事業期間は交付決定の内容と、制度側の承認・指示で決まります

期間内に終わらない見込みになったら

  1. 公募要領・交付規程で、期間延長・事故報告・完了予定期日の変更の定めを確認する
  2. 遅れの原因(納期遅延、災害など)と見込みの時期を記録に残す
  3. 期限が過ぎる前に事務局(助成金は所轄労働局)へ連絡し、指示に従う
  4. 事業内容や経費の配分を変える場合は、事前に 計画変更の承認 を受ける

→ 支払いの時期のルールは 後払い、分割払いの注意点は 出来高払い を参照してください。

公式情報

最終確認日: 2026年9月15日(e-Gov 法令検索と各公募要領・交付要綱の原文で確認)

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