結論
従業員研修で使える代表的な助成金は 人材開発支援助成金(厚生労働省)が本命です(2026年4月時点)。OFF-JT(座学)、OJT(実地)、自発的職業能力開発、eラーニング、特定訓練など複数のコースに分かれています。
訓練経費(最大75%)と訓練中賃金(時給760円)の両方が助成対象になりますが、訓練計画届の事前提出が必須で、計画外の研修を実施しても対象外になります。
1. 人材開発支援助成金の主なコース
人材育成支援コース
OFF-JT(座学・外部研修)20時間以上 + 賃金助成。
- 経費助成: 訓練経費の45〜75%
- 賃金助成: 760円/時間(中小・OFF-JT・正規)
- 主な対象: ITスキル研修、専門資格取得研修
教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇制度(年5日以上)を導入し、有給で研修を受けさせる場合。
- 制度導入助成: 30万円(一括)
- 賃金助成: 1日6,000〜7,200円(休暇取得時)
人への投資促進コース(高度デジタル人材育成等)
高度なデジタル・グリーン関連訓練を実施した場合に手厚く助成。
- 経費助成: 最大75%
- 例: AI・データ分析研修、サイバーセキュリティ訓練
事業展開等リスキリング支援コース
新分野展開・事業再編に伴うリスキリング訓練。
- 経費助成: 最大75%
- 賃金助成: 960円/時間
2. 助成金の対象になる研修
| 研修種別 | 対象? | 備考 |
|---|---|---|
| 外部講師による座学(OFF-JT) | ◯ | 主流。20時間以上必要 |
| eラーニング | ◯ | 一定要件あり |
| OJT(実地訓練) | ◯ | 一部コースのみ |
| 自社内講師による研修 | △ | 講師費用が対象外になる場合 |
| 職場での通常業務 | ❌ | 訓練扱いにならない |
| 経営者向け研修 | ❌ | 対象は雇用保険被保険者のみ |
| 一般教養(語学・趣味) | △ | 業務関連性が要件 |
3. 申請の流れ
- 訓練実施 1ヶ月前まで に訓練計画届を都道府県労働局に提出
- 計画認定(提出から数週間)
- 訓練実施
- 訓練終了後 2ヶ月以内 に支給申請書提出
- 審査 → 支給決定 → 振込(4〜6ヶ月後)
→ 認定経営革新等支援機関のサポートを受ける選択肢もあります。
4. 落とし穴
落とし穴1: 訓練計画届の事前提出忘れ
「訓練を実施してから助成金申請しよう」は 絶対ダメ。事前計画届なしでは対象外。
落とし穴2: 訓練時間の記録が不十分
タイムカード、訓練日報、講師の出席証明など複数の証憑が必要。「なんとなく研修した」では支給されません。
落とし穴3: 訓練の業務関連性
「ヨガ研修でメンタル強化」のような研修は 業務関連性が薄い とされ不支給になることがあります。職務記述書との関連が必要。
落とし穴4: 訓練中の業務命令違反
訓練時間中に業務指示を出した(実際は通常業務だった)と判断されると、訓練扱いにならず不支給。
落とし穴5: 受講者の中途退職
訓練終了前に退職されると、その人の分は対象外になる場合があります。
5. 申請を勧めるケース
- 雇用保険適用事業所
- 訓練計画届を事前提出する余裕がある
- 訓練時間の記録体制がある(タイムカード、訓練日報)
- 業務に直結する研修を計画している
- 社労士または労働局窓口で事前相談する体制
6. 申請を勧めないケース
- 1ヶ月以内に研修を始めたい急ぎ案件
- 訓練計画届を作成する人材リソースがない
- 訓練時間の記録体制がない
- 業務関連性が薄い研修
- 受講者が中途退職する可能性が高い
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7. よくある質問
Q. 自社内講師の研修は対象?
A. 一部コースで対象です。ただし講師の人件費は対象外で、教材費・受講者の賃金のみ補助されます。
Q. eラーニングは対象?
A. 対象ですが、学習ログ(受講時間記録)の保存が必須。動画視聴時間が証憑として求められます。
Q. 経営者の研修は対象?
A. 対象外です。雇用保険被保険者のみ。
Q. 助成金もらった後に退職されたら返還?
A. 訓練終了後の退職は原則返還不要。ただし制度ごとに細かい要件があるため、事前に労働局に確認してください。
Q. 業務改善助成金との併用は?
A. 同一経費の重複は不可。訓練費を業務改善助成金で申請するか、人材開発支援助成金で申請するかどちらか一方。
8. 情報源
最終確認日: 2026年4月26日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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