圧縮記帳とは
補助金は、原則として課税対象です。持続化補助金(第20回)の公募要領は、補助金を「補助金の額の確定を受けた事業年度における収益」として計上し、法人税・所得税の課税対象になるとしています。
そのうえで法人税法42条は、次の場合に、補助金の額(圧縮限度額)の範囲内で固定資産の帳簿価額を損金経理により減額するか、確定した決算で積立金として積み立てる方法で経理すれば、その金額を損金に算入できると定めています。これが圧縮記帳です。
- 固定資産の取得または改良に充てるための 国庫補助金等 の交付を受けた
- その国庫補助金等を返還しなくてよいことが、事業年度の終了時までに確定した
- 事業年度の終了時までに、交付の目的に合った固定資産を取得または改良した
課税は「なくなる」のではなく「繰り延べ」
圧縮記帳をすると、補助金を受け取った年は、補助金の益金と圧縮額の損金が相殺されます。その代わり、固定資産の帳簿価額が小さくなるので、その後の減価償却費も小さくなります。課税が消えるのではなく、耐用年数にわたって後ろにずれる仕組みです。
数値例(税率を使わない比較)
1,000万円の設備を取得し、その取得に充てる補助金500万円を受け取った場合です。
| 項目 | 圧縮記帳をしない | 圧縮記帳をする |
|---|---|---|
| 受け取った年の益金(補助金) | 500万円 | 500万円 |
| 受け取った年の圧縮額(損金) | なし | 500万円 |
| 減価償却の基礎になる帳簿価額 | 1,000万円 | 500万円 |
| 圧縮額と減価償却費の合計(耐用年数全体) | 1,000万円 | 1,000万円 |
損金の合計は同じで、損金になる時期が変わります。実際の税額は、各年の所得、税率、繰越欠損金の有無などで変わります。
「補助金の額×税率」がそのまま税負担になるわけではない
- 固定資産の取得に充てた部分は、圧縮記帳で受け取った年の課税を繰り延べられます
- 経費に充てた部分は、その経費自体が損金になります。課税所得が増えるのは、補助金の益金と、自己負担分を含む経費の損金との差です
- 赤字の年や繰越欠損金がある場合は、補助金の益金が課税所得を生まないこともあります
- 税率は一律ではありません。法人税率は23.2%で、中小法人は所得のうち年800万円以下の部分に15%が適用されます(一定の場合を除く。国税庁 No.5759)。国・地方を合わせた法人実効税率は29.74%です(財務省)
対象になる補助金・ならない部分
- 法人税法42条の国庫補助金等は、国または地方公共団体の補助金・給付金と、政令で定めるこれらに準ずるものです(法人税法施行令79条)
- 持続化補助金(第20回)の公募要領は、同補助金が所得税法42条・法人税法42条の国庫補助金等に当たり、交付の目的に合った固定資産の取得・改良に充てた場合に適用できるとしています
- 新事業進出・ものづくり補助金(第1回)の公募要領は、固定資産の取得に充てるための補助金について圧縮記帳を認め、技術導入費・専門家経費など固定資産の取得以外に充てた部分には適用できないとしています
- 法人税法42条は固定資産の取得・改良に充てるための補助金を対象にしているため、雇用や訓練の経費に対して支給される助成金(キャリアアップ助成金など)はこの規定の対象になりません
- そのほかの補助金は、公募要領・交付規程の記載と交付の目的を確認し、顧問税理士に相談してください
申告の注意
- 確定申告書に、損金算入額の明細を記載する必要があります(法人税法42条3項)
- 返還不要が事業年度の終了時までに確定していることが条件です(同条1項)。確定していない場合の扱いは、税理士に確認してください
- 補助金の額が確定する時期と、固定資産を取得する事業年度がずれる場合も、処理を税理士に確認してください
個人事業主の場合
所得税法42条は、居住者が固定資産の取得・改良に充てるための国庫補助金等の交付を受け、その年の12月31日までに返還不要が確定し、交付の目的に合った固定資産を取得・改良したときは、その補助金の額を総収入金額に算入しないと定めています。確定申告書への記載が必要で(同条3項)、その後の償却費の計算は政令で定められています(同条5項)。
→ 詳細は 補助金は課税対象?圧縮記帳と消費税の取扱い
公式情報
- 法人税法(e-Gov法令検索)
- 法人税法施行令(e-Gov法令検索)
- 所得税法(e-Gov法令検索)
- No.5759 法人税の税率(国税庁)
- 法人課税に関する基本的な資料(財務省)
- 小規模事業者持続化補助金 第20回 公募要領(第8版)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回 1.2版)
最終確認日: 2026年9月15日