前払いとは(補助金の文脈で)
補助金の話で「前払い」と言うときは、ふつう 補助事業者が取引先(販売店・工事業者・制作会社など)へ、納品や請求より前に代金を支払うことを指します。「着手金」「手付金」「前家賃」なども、支払いの時期によってはこれにあたります。
公募要領は「前払い」を一律に禁止しているわけではなく、いつ・どの順番で支払ったかを制度ごとに定めています。前払いそのものより、次の3点に引っかかることで補助対象外になります。
- 交付決定より前に支払った
- 補助事業期間の外の分を支払った(翌月分の家賃を期間内に払った等)
- 請求より先に支払った(デジタル化・AI導入補助金)
国が補助事業者へ補助金を先に払う「前金払い」「概算払い」は、これとはまったく別の話です(後述)。
公募要領に書かれている支払いのルール
| 制度(公募回) | 公募要領の定め |
|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(第20回) | 「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」は補助対象外。補助対象は交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払が完了した経費。展示会等への出展の申込みだけは交付決定前でも対象(ただし請求書の発行が交付決定日以後であること) |
| デジタル化・AI導入補助金(2026 通常枠) | ITツールの契約・発注が最初。代金の支払いの前に、必ずIT導入支援事業者から請求が行われていることが必要。請求よりも先に支払いが行われていた場合は、補助金の交付が行えず、交付決定の取消しとなる場合がある |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回) | 交付決定日より前に契約(発注を含む)した経費は対象外。補助事業実施期間内に契約(発注)・納入・検収・支払等のすべてを完了すること。手形による支払い(L/C決済を含む)は対象外 |
| 省力化投資補助金(一般型 第8回) | 交付決定を受けた日付以降に契約(発注)等を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限る |
| 創業助成金(東京都)(令和8年度第2回) | 助成対象期間中に契約・履行・支払が完了した経費が対象。対象期間外分の賃借料(例:翌月分を前月末に前払い)と、交付決定日より前に支払った賃借料は対象外(賃借料・従業員人件費は、交付決定日以前に契約した内容も対象) |
よくある誤解
- 「海外発注で信用状(L/C)を使えば前払いでも対象になる」→ 誤り。 新事業進出・ものづくり補助金の公募要領は、L/C決済を含む手形による支払いを対象外と明記しています
- 「着手金なら別扱い」→ 誤り。 名目にかかわらず、交付決定前の契約・支払いは対象外です(持続化補助金、新事業進出・ものづくり補助金)
- 「家賃は前払いが普通だから対象になる」→ 期間外の分は対象外。 東京都創業助成金は、翌月分を前月末に払った家賃のうち対象期間外の分を対象外の例に挙げています
- 「交付決定後なら、納品前にいくら払ってもよい」→ 制度しだい。 デジタル化・AI導入補助金は請求前の支払いを認めていません。前払いが必要な取引は、支払う前に事務局へ確認してください
前払いを求められたときの確認手順
- 交付決定日より後の支払いか(契約・発注の日付も含めて)
- 補助事業期間の内側の分の支払いか(家賃・利用料は対象月を確認)
- 請求書を受け取ってから支払うか(デジタル化・AI導入補助金は必須)
- 支払方法が公募要領の認める方法か(持続化補助金・新事業進出・ものづくり補助金は銀行振込が原則で、小切手・手形・相殺による支払いは対象外。デジタル化・AI導入補助金は原則として銀行振込とクレジットカード1回払いのみ)
- 判断がつかなければ、支払う前に事務局へ問い合わせる
国の「前金払い」との違い
国が補助事業者へ補助金を先に払う「前金払い」は、会計法22条と予算決算及び会計令57条10号(補助金・負担金・交付金)に根拠があり、行うときは各省各庁の長が財務大臣に協議する必要があります(同条ただし書)。使えるのは公募要領・交付規程に定めがある制度だけです。詳しくは概算払いの早見表を参照してください。
→ 取引先への支払いの順番は 後払い、立替えの全体像は 精算払い を参照してください。
公式情報
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回 公募要領(PDF)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠/PDF)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領(PDF)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)第8回 公募要領(PDF)
- 令和8年度第2回 創業助成事業 募集要項(PDF)(東京都中小企業振興公社)
- 会計法(昭和22年法律第35号) 第22条、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号) 第57条(e-Gov 法令検索)
最終確認日: 2026年9月15日(各公募要領の原文と e-Gov 法令検索で確認)