新事業進出・ものづくり補助金 vs 省力化投資補助金|大型設備投資の使い分け

中小企業新事業進出補助金は公募終了。後継的な新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金を、対象事業・補助上限・基本要件・事業実施期間・採択の状況で比較し、使い分けを整理します。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

中小企業新事業進出補助金は公募を終えています。新たに申請するなら、後継的な位置づけの新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回 応募申請 2026年9月30日〜10月30日18:00)が候補です。新製品・新サービスの開発や新市場への進出を伴う投資はこちら、人手不足を省力化設備で解消する投資省力化投資補助金(一般型 第8回 申請 2026年9月18日〜10月16日、カタログ注文型は随時受付)です。新事業進出・ものづくり補助金は第1回のため採択率の実績がまだなく、省力化投資補助金(一般型)は公表件数から算出すると第1〜6回で60.9〜69.3%(第6回は63.9%)です。

結論

大型の設備投資で候補になる2制度の使い分けです(2026年9月時点)。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金: 新製品・新サービスの開発、新市場への進出、輸出体制の強化。補助上限は750万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)
  • 省力化投資補助金: 人手不足の解消に向けた省力化投資。カタログ注文型は最大1,000万円(大幅な賃上げで1,500万円)、一般型は最大8,000万円(大幅賃上げ特例で1億円)

「新しい製品・市場に挑む投資か」「今の業務の人手不足を解消する投資か」で選びます。

中小企業新事業進出補助金は公募を終えています。新事業進出・ものづくり補助金は後継的な位置づけですが、事務局は「異なる補助金」と明記しており、枠・上限・要件・様式は別物です。

1. 比較表

項目 新事業進出・ものづくり補助金(第1回) 省力化投資補助金
所管 中小企業庁 中小企業庁
目的 新製品・新サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、輸出体制の強化 人手不足の解消に向けた省力化投資
補助率 1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)。革新的新製品・サービス枠の小規模企業・小規模事業者と再生事業者、グローバル枠は2/3 カタログ注文型 1/2以下/一般型 中小企業1/2・小規模事業者と再生事業者2/3(中小企業も特例で2/3)
補助上限 革新的新製品・サービス枠 750万〜2,500万円/新事業進出枠・グローバル枠 2,500万〜7,000万円(従業員数による。賃上げ特例で最大9,000万円) カタログ注文型 500万〜1,000万円(大幅な賃上げで最大1,500万円)/一般型 750万〜8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円)
補助下限 革新的新製品・サービス枠 100万円/新事業進出枠・グローバル枠 750万円 カタログ注文型は補助額25万円未満の申請不可(賃貸借を除く)
基本要件 付加価値額 年平均+4.0%以上、一人当たり給与支給総額 年平均+3.5%以上、事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上、一般事業主行動計画の公表、子育て等の職場環境整備の取り組み、金融機関要件(借入する場合) カタログ注文型: 労働生産性 年平均+3.0%以上/一般型: 労働生産性 年平均+4.0%以上、一人当たり給与支給総額 +3.5%以上、事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上 など
申請 専用の電子申請システム(2026年9月30日〜10月30日18:00) カタログ注文型: 販売事業者と共同で申請(随時受付)/一般型: 公募回制(第8回 2026年9月18日〜10月16日17:00)
採択発表 2027年1月(予定) 一般型 第8回は2027年2月上旬(予定)
事業実施期間 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)。新事業進出枠・グローバル枠は14か月以内(同16か月以内) 一般型は交付決定日から17か月以内
採択の状況 第1回のため実績なし(参考: 公募終了した中小企業新事業進出補助金は第1回37.2%・第2回35.4%) 一般型は公表件数から算出して第1〜6回で60.9〜69.3%(第6回は1,841件中1,176件=63.9%)。カタログ注文型は交付申請の随時受付で、公表されているのは交付申請数・交付決定数(採択率の公表なし)

2. 対象事業の違い

新事業進出・ものづくり補助金: 3つの枠

  • 革新的新製品・サービス枠: 新製品・新サービスの開発。生産プロセスの改善だけの事業や、機械装置を導入するだけで開発を伴わない事業は対象外
  • 新事業進出枠: 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出。新規性は自社にとっての新規性でよいが、既存製品の増産や商圏が違うだけのものは該当しない
  • グローバル枠: 輸出に向けた国内の体制強化。自発的な海外販路開拓が前提で、取引先主導の事業は対象外

省力化投資補助金: 2つの類型

  • カタログ注文型: 事務局のカタログに登録された製品(清掃・配膳ロボット、券売機、自動精算機、自動チェックイン機、厨房機器、AGV・AMR、自動倉庫、検査装置 など。製品カテゴリの名称は2026年9月10日版の製品カテゴリ一覧による)を選び、販売事業者と共同で申請
  • 一般型(オーダーメイド型): カタログにない、自社の現場に合わせた設備・システム。単価50万円(税抜)以上の機械装置・システムを1つ以上導入することが必須

3. 補助対象経費の違い

新事業進出・ものづくり補助金

機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費。

新事業進出枠・グローバル枠は建物費も対象で、機械装置・システム構築費か建物費のどちらかを必ず含めます。グローバル枠は海外旅費・通訳翻訳費も対象です。

省力化投資補助金

  • カタログ注文型: 製品本体価格(購入する場合は単価50万円以上)と、導入経費(設置・運搬・動作確認など。製品本体価格の2割まで)の2つだけ。導入経費だけの申請はできません
  • 一般型: ハード・ソフトを組み合わせた、現場に合わせた設備・システム

4. 申請前に確認したい点

新事業進出・ものづくり補助金

  • 加点項目(パートナーシップ構築宣言、くるみん、えるぼし、経営革新計画、事業継続力強化計画、DX認定など17項目)は、いずれも申請締切日時点で満たしている必要があります
  • 過去3年間に、ものづくり補助金または新事業進出補助金で交付決定を受けている事業者は減点されます
  • 事業計画書の作成そのものを第三者に行わせることは認められていません
  • 一般事業主行動計画の「両立支援のひろば」への掲載には1〜2週間程度かかります

省力化投資補助金

  • 一般型は、すでに一般型に応募申請中・交付申請中の事業者や、交付決定を受けて補助金の支払が終わっていない事業者は申請できません
  • 補助額が500万円以上になる場合は、事業計画期間の終了まで保険・共済への加入が必須です(保険料は補助対象外)

5. 立替え金額の違い

どちらも精算払いで、事業費の全額をいったん立て替えます。補助率1/2なら、事業費は補助金額の2倍です。

  • 新事業進出・ものづくり補助金: たとえば新事業進出枠で補助金2,500万円(従業員1〜20人の上限)を受けるなら、補助率1/2で事業費5,000万円を立て替える計算です。事業実施期間(交付決定日から14か月以内、かつ採択発表日から16か月以内)と実績報告の期限から見て、採択から入金まで1年を超えることがあります。支払は実績報告・確定検査・精算払請求の後です
  • 省力化投資補助金(カタログ注文型): 補助率は1/2以下なので、補助金1,000万円を受けるには少なくとも2,000万円分の購入を立て替えます

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6. 適合する事業者像

新事業進出・ものづくり補助金が合う事業者

  • 新製品・新サービスの開発、既存事業と異なる市場への進出、輸出体制の強化を具体的に計画している
  • 3〜5年の事業計画で、付加価値額・賃上げ・事業場内最低賃金の要件を守れる
  • 一般事業主行動計画の公表や加点項目の準備を、締切から逆算して進められる
  • 大きな立替えと、交付決定日から10か月(または14か月)の事業実施に対応できる

省力化投資補助金が合う事業者

  • 人手不足を設備で解消したい
  • カタログに合う製品がある(カタログ注文型)、または現場に合わせた設備を計画できる(一般型)
  • 設置環境が製品の要件を満たす
  • 導入後の効果報告に対応できる

7. 申請を勧めないケース

新事業進出・ものづくり補助金を勧めないケース

  • 既存製品の増産や、機械を入れ替えるだけで開発を伴わない
  • 採択発表(2027年1月予定)と交付決定を待たずに発注したい
  • 事業計画を自社で作る体制・時間がない
  • 賃上げの要件を守れる見通しがない(未達は返還の対象)

省力化投資補助金を勧めないケース

  • 一般型に応募中・事業実施中で、次の回に重ねて申請しようとしている
  • 設置環境が製品の要件を満たさない
  • 同じテーマ・事業内容で、IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)の対象になる取り組みをしている

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8. 併用を考えるとき

  • 省力化投資補助金は、国の他の補助金と補助対象経費が重複するものは対象外です。さらにカタログ注文型は、経費が重ならなくても、テーマや事業内容がIT導入補助金と同一・類似なら対象外になります
  • 同じ設備を両方の制度で申請することはできません
  • 別々の事業で両制度を使えるかは、両方の公募要領の重複に関する規定を確認し、判断に迷う場合は各事務局に問い合わせてください

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9. よくある質問

Q. 新事業進出・ものづくり補助金は、新事業進出補助金と同じ制度?

A. 違います。事務局は「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金だと明記しています。中小企業新事業進出補助金は公募を終えており、ものづくり補助金も23次締切の後、新たな公募回は告知されていません。

Q. 省力化投資補助金のカタログにない製品は?

A. 省力化投資補助金の一般型(オーダーメイド型)が選択肢です。単価50万円(税抜)以上の機械装置・システムを1つ以上導入する必要があります。新製品・新サービスの開発を伴うなら、新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠も候補です。

Q. 認定経営革新等支援機関は必要?

A. 新事業進出・ものづくり補助金は任意です。金融機関等から資金提供を受けて実施する場合のみ「金融機関による確認書」が必要です。省力化投資補助金は、申請する類型の公募要領で必要書類を確認してください。

Q. 採択率はどれくらい?

A. 新事業進出・ものづくり補助金は第1回のため実績がありません(採択発表は2027年1月予定)。省力化投資補助金(一般型)は、事務局(中小機構)の採択結果ページで公表された申請数・採択数から算出すると第1〜6回で60.9〜69.3%、直近の第6回は1,841件中1,176件(63.9%)です。カタログ注文型は採択率を公表していません。

10. 情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

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