結論
「補助金」と「助成金」は混同されがちですが、仕組みが大きく違います(2026年9月時点)。
どちらも後払いが基本で、いったん自社で費用を負担する点は共通です。
1. 補助金 vs 助成金 比較表
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 主な所管 | 経済産業省・中小企業庁 | 厚生労働省 |
| 性質 | 審査で採択を決める | 要件を満たせば支給 |
| 採択の状況 | 制度・回で違う(例: デジタル化・AI導入補助金 通常枠の2026年1〜3次は、申請数に対する交付決定数の割合が43.9%・43.6%・42.2%) | 審査で競う採択制ではなく、採択率の公表なし(業務改善助成金・キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金) |
| 主な対象 | 設備投資・販路開拓・ITツール・新製品開発 | 雇用・賃上げ・研修 |
| 申請方法 | 制度ごとに指定(事務局の電子申請システム、デジタル化・AI導入補助金は申請マイページ、東京都創業助成金はJグランツなど) | 労働局への窓口持参・郵送・電子申請(キャリアアップ助成金・業務改善助成金など) |
| GビズIDプライム | 多くの制度で必要 | 制度・申請方法ごとに支給要領で確認 |
| 補助率 | 1/2〜2/3が中心(制度・枠・特例による) | 定額、または経費の一定割合(業務改善助成金 3/4〜4/5、人材開発支援助成金 中小企業45〜100%など) |
| 補助上限 | 持続化補助金 50万円(特例で最大250万円)〜省力化投資補助金(一般型)最大1億円 | コース・人数による(キャリアアップ助成金 正社員化コースは中小企業で1人最大80万円、業務改善助成金は最大600万円など) |
| 審査・確認の中心 | 事業計画書の内容 | 計画書・届出の期限、就業規則・賃金台帳などの要件 |
| 入金までの流れ | 交付決定 → 事業実施 → 実績報告 → 確定検査 → 支払。期間は制度と公募回で異なる | 取組の実施 → 支給申請 → 審査 → 支給。キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金は審査期間の公表なし |
| 立替え | 必要(後払い) | 必要(経費・賃金を先に支払う) |
2. 代表的な補助金と助成金
補助金(経済産業省・中小企業庁系)
- 小規模事業者持続化補助金: 販路開拓
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金: 新製品開発・新市場への進出・輸出体制
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金): 登録ITツールの導入
- 中小企業省力化投資補助金: 省力化機器
- 事業承継・M&A補助金: 事業承継・M&A
※ ものづくり補助金は23次締切で受付を終え、中小企業新事業進出補助金は公募終了です。
助成金(厚生労働省系)
- 業務改善助成金: 賃上げ + 設備
- キャリアアップ助成金: 正社員化
- 人材開発支援助成金: 従業員研修
- 特定求職者雇用開発助成金: 就職困難者の雇用
- トライアル雇用助成金: 試用雇用
3. 違い1: 審査の性質
補助金: 競争的審査
事業計画書を 他社と競争する形。革新性、事業化可能性、実現性等の評価軸でスコア化され、上位採択。
例: デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、2026年1〜3次の申請数に対する交付決定数の割合が43.9%・43.6%・42.2%でした(事務局「申請数および交付決定数」2026年9月2日更新から算出)。
助成金: 要件充足型
要件を満たせば支給されます。「賃金を引き上げた」「正社員に転換した」などの事実と書類で判定されます。
例: キャリアアップ助成金は採択率という考え方がなじまず、公表もありません。ただし、キャリアアップ計画書をコース実施日の前日までに出していないなど、手続きの期限を守れないと受給できません。
4. 違い2: 申請主体・対象
補助金: 中小企業・個人事業主が中心
中小企業基本法の中小企業・小規模事業者が主たる対象。
助成金: 雇用保険適用事業所
雇用保険に加入していない事業所は対象外。一人親方・無雇用の個人事業主は使えない助成金が多い。
5. 違い3: 申請の前提条件
補助金の前提
- GビズIDプライム取得
- 事業計画書
- 商工会・商工会議所の事業支援計画書(持続化補助金)や、認定経営革新等支援機関の確認書(事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠など)
- 一定額以上の発注の相見積(基準額・者数・提出時期は制度ごとに違う)
助成金の前提
- 雇用保険・労災保険完納
- 就業規則整備(10名以上の事業所)
- 賃金台帳・出勤簿の整備
- キャリアアップ計画書等の事前提出
6. 併用は可能?
異なる経費・異なる事業ならば併用可能。
併用OKパターン
- 補助金(販路開拓費)+ 助成金(雇用拡大): 完全分離
- 補助金(設備投資)+ 助成金(賃上げ別経費): 経費分離
併用NGパターン
- 同一経費の重複申請: 重複受給で返還命令
- 同じ行為・同じ経費や賃金の支出に雇用関係助成金を2つ以上: 同時には受けられない(雇用関係助成金 共通要領0304)
→ 助成金どうしの組み合わせは 雇用関係助成金の併給ルール
7. 自社に合う方を選ぶ判定
補助金が合うケース
- 設備投資・販路開拓を計画
- 事業計画書策定に時間を割ける
- 公募要領の日程に合わせて動ける(採択発表を待ってから発注する)
- 入金まで1年を超えることも見込んで立替えできる
助成金が合うケース
- 採用・正社員化・賃上げを計画
- 雇用保険適用事業所
- 就業規則・賃金台帳が整備済
- 社労士サポートを受けられる
8. 共通の落とし穴
共通落とし穴1: 立替え必須
補助金は精算払いで、事業者がいったん全額を支払います。持続化補助金 第20回は、採択発表が2027年3月頃、補助事業の実施期限が2028年3月31日、実績報告の期限が2028年4月10日で、補助金はその後の確定検査を経て支払われるため、採択から入金まで1年を超えることがあります。助成金も、経費や賃金を支払ってから支給申請します。
共通落とし穴2: 採択 ≠ 入金
補助金は、採択 → 交付決定 → 事業実施 → 実績報告 → 確定検査 → 支払 の順です。対象外と判断された経費は支払われません。
共通落とし穴3: 同じ経費での重複受給はできない
同じ経費に複数の補助金・助成金を受けることはできません。不正な受給は交付決定の取消や返還の対象になります。
共通落とし穴4: 課税対象
法人の場合、補助金・助成金とも原則として益金(課税対象)です。ただし、固定資産の取得に充てた国庫補助金等は、圧縮記帳(法人税法42条)で受け取った年の課税を繰り延べられます。経費に充てた分は、その経費自体が損金になります。「補助額×税率」がそのまま税負担になるわけではありません。
9. よくある質問
Q. 補助金の方が金額が大きい?
A. 制度によります。補助金の上限は、持続化補助金の50万円(特例で最大250万円)から、省力化投資補助金(一般型)の最大1億円まで幅があります。助成金はコースと人数で決まり、キャリアアップ助成金の正社員化コースは中小企業で1人最大80万円(有期雇用から正社員化した重点支援対象者の場合。それ以外は40万円)、業務改善助成金は最大600万円です。
Q. どちらも個人事業主は使える?
A. 補助金は個人事業主可。助成金は 雇用保険適用事業所のみ(一人親方は対象外の制度多数)。
Q. 採択保証する業者がいるけど大丈夫?
A. 絶対NG。採択保証する業者は信用しないでください。
Q. 自社にどちらが合うか分からない
A. → 3分で無料診断 で主要制度を一括判定。
10. 情報源
- 中小企業庁 補助金等公募情報
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領(PDF)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式
- デジタル化・AI導入補助金 事務局「申請数および交付決定数」(2026年9月2日更新)
- 厚生労働省 雇用関係助成金
- 厚生労働省 業務改善助成金
- 厚生労働省 キャリアアップ助成金
- キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)リーフレット(PDF)
- 人材開発支援助成金 人材育成支援コース パンフレット(令和8年8月3日以降の計画届が対象/PDF)
- 法人税法 第42条(e-Gov法令検索)
最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部
この記事を書いた人
中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。
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