業種解説

飲食業で使える補助金|厨房機器・改装工事・券売機・テイクアウト対応の制度活用

飲食店の補助金を、厨房機器・改装工事・券売機・テイクアウト用の包装・キッチンカーなど投資内容別に整理。省力化投資補助金の厨房機器カテゴリ、持続化補助金で対象になる工事と対象外の車両、営業許可の手続きとの関係を一次資料で解説。

補助金・助成金リアリティ編集部 2026年4月26日公開 最終確認 2026/9/15
この記事の結論

飲食店の補助金は投資内容で分かれます。改装工事・ガス水道排気工事・冷凍冷蔵庫など販路開拓に伴う投資は持続化補助金(常時使用する従業員5人以下)、スチームコンベクションオーブン・自動フライヤー・食器洗浄機・券売機・配膳ロボットなどの登録製品は省力化投資補助金のカタログ注文型、最低賃金に近い賃金の引上げとあわせた設備投資は業務改善助成金が候補です。キッチンカー本体は持続化補助金で対象外ですが、移動販売のための車の内装・改造工事は対象例に挙がっています。改装では、補助金とは別に食品衛生法の営業許可の手続きがあるため、保健所への相談を含めて日程を組んでください。

結論

飲食店の補助金は、何に投資するかで使う制度が分かれます(2026年9月15日時点の公式資料で確認)。

  • 改装工事・厨房の設備・テイクアウト用の包装の開発(販路開拓): 持続化補助金。飲食店は商業・サービス業として常時使用する従業員5人以下が対象
  • スチームコンベクションオーブン・食器洗浄機・券売機・配膳ロボットなど: 省力化投資補助金のカタログ注文型。登録製品だけが対象
  • 最低賃金に近い賃金の引上げ+設備投資: 業務改善助成金
  • POSレジ・予約・食材管理のソフトウェア: デジタル化・AI導入補助金。登録ITツールだけが対象

飲食店の営業には食品衛生法に基づく都道府県知事の許可が必要です(第55条、施設の基準は都道府県の条例)。改装や厨房の変更を計画するときは、補助金の日程とは別に保健所への相談の時間も見込んでください。

1. 投資内容別に使える制度

投資内容 候補になる制度 飲食店での注意点
店舗改装・バリアフリー化、客用トイレの改装 持続化補助金(委託・外注費) 50万円(税抜)以上の外注工事は処分制限財産になることがある
ガス・水道・排気工事 持続化補助金(委託・外注費) 公募要領の対象例は「製造・生産強化のため」の工事
鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫、ショーケース 持続化補助金(機械装置等費) 生産販売拡大・衛生向上などの目的が必要。老朽化した設備の取替えは対象外
テイクアウト用の新しい包装パッケージ 持続化補助金(新商品開発費) デザイン費などが対象。実際に販売する商品を包むパッケージの購入は対象外
キッチンカー 対象外(持続化補助金) 車両本体は対象外。移動販売のための車の内装・改造工事は委託・外注費の対象例
スチームコンベクションオーブン・自動フライヤー・食器洗浄機など 省力化投資補助金(カタログ注文型) 登録製品のみ
券売機・自動精算機・配膳ロボット 省力化投資補助金(カタログ注文型) 登録製品のみ。設置環境が製品の要件を満たすか確認
賃上げ+POSレジや業務フローの見直し 業務改善助成金 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる。申請期限は都道府県ごと
POSレジ・予約管理・食材管理のソフトウェア デジタル化・AI導入補助金 登録ITツールのみ
食材の仕入れ 対象になる制度なし 持続化補助金は販売している商品の仕入れを対象外にしている

2. 厨房機器は省力化投資補助金のカテゴリを確認する

省力化投資補助金のカタログ注文型は、事務局の製品カタログに登録された製品を販売事業者と共同で申請する類型です(随時受付)。製品カテゴリ(2026年9月10日版)で、対象業種に飲食サービス業が含まれる主なものは次のとおりです。

分類 製品カテゴリ
厨房サポート スチームコンベクションオーブン(プログラム機能付き調理器具)、自動フライヤー、コンベアオーブン、両面焼きグリドル、業務用自動食器類洗浄機、急速冷却/急速凍結機、再加熱キャビネット/カート、解凍機、飲料ディスペンサー/とろみ給茶機
店舗向けセルフ対応型機器 券売機、自動精算機
ロボット 配膳ロボット、清掃ロボット
食品加工 食品スライサ・カッタ、パン等発酵生地の分割・まるめ機 など
  • 同じ種類の機器でも、登録された型番だけが対象です。公式の製品カタログで型番まで確認してください
  • 対象経費は製品本体価格と導入経費(製品本体価格の2割まで)だけで、補助事業の終了後3年間の効果報告があります
  • カタログにない設備を自社の厨房に合わせて導入する場合は一般型(第8回の申請受付は2026年9月18日〜10月16日17:00)が対象です

省力化投資補助金の詳細

3. 改装・テイクアウト対応で持続化補助金を使うときの注意点

持続化補助金の対象経費の全体像は販路開拓で使える補助金で整理しています。ここでは、飲食店で迷いやすい点を第20回の公募要領から抜き出します。

工事

  • 対象例: 店舗改装・バリアフリー化工事、利用客向けトイレの改装工事、製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
  • 対象外: 販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(単なる店舗移転のための解体・建設、住宅兼店舗の住宅部分など)
  • 建物の増築・増床など「不動産の取得」に当たるものは対象外です。公募要領は、支柱と屋根材だけで作られた飲食店の戸外テラス席は、周壁がないため「不動産の取得」に当たらない例として挙げています

厨房の設備

  • 対象例: 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫、衛生向上や省スペース化のためのショーケース
  • 対象外: 老朽化した既存機械の取替え費用、新たな販路開拓につながらない単なる取替え更新
  • 中古品は、購入単価50万円(税抜)未満で、2者以上の中古品販売事業者から見積を取った場合だけ対象です

テイクアウト用の包装

新商品開発費では、新たな包装パッケージのデザイン費用などが対象です。テストマーケティングや市場調査を伴うことが条件で、開発が終わった後に実際に販売する商品を包むためのパッケージの印刷・購入は対象外です。

キッチンカー

自動車・キッチンカー・キッチントレーラーなどの車両は対象外です。一方で、委託・外注費の対象例に「移動販売等を目的とした車の内装・改造工事」が挙がっています。

4. 賃上げとあわせるなら業務改善助成金

パート・アルバイトの時給が地域別最低賃金に近い店舗で検討しやすい助成金です。令和8年度の地域別最低賃金は、全国加重平均1,177円(56円引上げ)が答申され、都道府県ごとに2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。

  • 対象: 事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満の中小企業・小規模事業者
  • 要件: 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資等を行う
  • 助成率: 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4
  • 上限: 最大600万円
  • 申請期限: 地域別最低賃金の発効日の前日と11月30日のいずれか早い日まで(Jグランツで申請)
  • リーフレットの対象経費の例: POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、国家資格者による顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し

業務改善助成金の詳細

5. POSレジ・予約・食材管理でデジタル化・AI導入補助金を使う

対象は事務局に登録されたITツールだけです。公募要領の業務プロセスのうち、飲食店に関係する主な例は次のとおりです。

  • 決済: POSレジ、券売機システム
  • 顧客対応・販売支援: 予約受付台帳(店舗側で予約を管理する機能が対象で、顧客側の画面を新たに制作する費用はスクラッチ開発に当たり対象外)
  • 飲食業の業種固有プロセス: 飲食店舗向けレシピ・メニュー管理(調理工程)、食材棚卸・店間移動・廃棄管理、複数店舗対応・FC管理

レジ本体・タブレットは、インボイス対応類型でレジ・券売機等20万円まで、PC・タブレット等10万円まで(補助率1/2以内)が対象です。

6. 飲食店特有の落とし穴

落とし穴1: 営業許可の手続きと補助金の日程がずれる

飲食店営業は、食品衛生法第55条の許可が必要な営業です(同法施行令第35条)。施設の基準は都道府県の条例で定められています。改装や厨房の変更を計画するときは保健所に相談し、交付決定前に発注できない補助金の日程と並べて計画してください。

落とし穴2: キッチンカーを持続化補助金で買おうとする

持続化補助金は、キッチンカー・キッチントレーラーを含む車両を対象外にしています。移動販売を始める場合は、車の内装・改造工事の扱いを公募要領で確認し、商工会・商工会議所に相談してください。

落とし穴3: 古い冷蔵庫やフライヤーを同じものに替えるだけ

持続化補助金は、老朽化した既存機械の取替え費用を対象外にしています。省力化投資補助金のカタログ注文型でも、対象は省力化の基準を満たして登録された製品だけです。

落とし穴4: 業務改善助成金の申請期限を逃す

申請期限は、都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日と11月30日の早い方です。発効日が10月1日の都道府県では、9月30日が期限になります。

落とし穴5: フランチャイズ本部との取引

持続化補助金では、フランチャイズチェーン本部との取引によるもの(本部指定の機器を本部以外から買う場合を含む)は対象外です。

7. 申請を勧めるケース

  • 新メニュー・テイクアウト・客層の拡大など、販路開拓の計画を数字で説明できる
  • 導入したい厨房機器が、省力化投資補助金の登録製品にある
  • 最低賃金に近い賃金を引き上げる余力がある
  • 保健所の相談を含めた日程を確認できている
  • 導入費用をいったん全額立て替えられる

8. 申請を勧めないケース

  • 食材の仕入れ資金に充てたい
  • 古い厨房機器を同じ性能のものに替えるだけ
  • キッチンカー本体の購入が目的
  • 1〜2か月以内に改装や開業を終えたい
  • 業務改善助成金の申請期限までに準備が間に合わない

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9. よくある質問

Q. スチームコンベクションオーブンは補助の対象になりますか?

A. 省力化投資補助金のカタログ注文型に「スチームコンベクションオーブン(プログラム機能付き調理器具)」のカテゴリがあり、登録された製品なら対象になりえます。型番まで製品カタログで確認してください。

Q. キッチンカーの購入に補助金は使えますか?

A. 持続化補助金では、キッチンカー・キッチントレーラーは車両として対象外です。移動販売を目的とした車の内装・改造工事は、委託・外注費の対象例に挙がっています。

Q. テイクアウト用の容器は補助されますか?

A. 持続化補助金の新商品開発費で、新しい包装パッケージのデザイン費用などは対象になりえます(テストマーケティングや市場調査を伴うことが条件)。開発後に実際に販売する商品を包むための容器の購入は対象外です。

Q. テラス席を作る工事は対象ですか?

A. 公募要領は、建物の増築など「不動産の取得」に当たるものを対象外にしていますが、支柱と屋根材だけで作られた飲食店の戸外テラス席は「不動産の取得」に当たらない例として挙げています。販路開拓の計画に沿った工事かどうかを含め、商工会・商工会議所に相談してください。

Q. 券売機を入れたい場合はどの制度ですか?

A. 省力化投資補助金のカタログ注文型に「券売機」のカテゴリがあります。インボイス対応が目的なら、デジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型でレジ・券売機等(20万円まで、補助率1/2以内)も対象です。

10. 情報源


最終確認日: 2026年9月15日 / 編集: 補助金・助成金リアリティ編集部

この記事を書いた人

補助金・助成金リアリティ編集部

中小企業庁・厚生労働省・各都道府県の公式公表内容を一次情報源に、補助金・助成金の「申請すべきか/見送るべきか」を中立的に伝えるための編集チーム。 採択保証表現や申請代行業者の宣伝は行わず、採択率・準備負担・立替期間・実績報告の負荷といった現実的な観点から判断材料を提供することを編集方針としています。

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